はじめに
日本では慢性的な不眠を抱えている人は約20%もいます。
5人に1人は睡眠の障害に悩まされているということです。
僕も長期の入院をきっかけに睡眠障害を抱え、随分苦労しました。睡眠障害について色々と学びました。
睡眠障害は様々な要因がからんで起こります。
環境要因(騒音や光、寝具など)や、日中の過ごし方(運動したか、日光に当たったか、PCやスマホを長時間使用したかなど)、心理的要因(悩みやストレスがないかなど)、身体的要因(痛みや呼吸苦、倦怠感など)が睡眠には大きく影響します。
睡眠障害を解決するには多面的なアプローチが必要となります。
しかしこのような外的要因は解決できないことも多いです。
環境要因が原因だからといってすぐに引っ越せなかったり、悩みがあるからといって簡単に解消されるものではありません。
そこで今回は外的な部分にアプローチする解決ではなく、誰でも簡単に実践できる内的な部分に対するアプローチ法をお伝えします。
そのアプローチ法とは体温調節です。
今回は『スタンフォード式最高の睡眠(スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長 西野精治著)』で紹介されている睡眠法について解説します。
この記事は睡眠の障害を抱えている人の悩みを解消する助けになります。
睡眠には2種類ある
睡眠には2種類存在します。
それはレム睡眠とノンレム睡眠です。
レム睡眠のレムとはRapid Eye Movementの頭文字REMのことです。つまり目が素早く動いている睡眠状態のことをレム睡眠といいます。レム睡眠中は体は眠っていても脳が活動している状態です。夢を見たり寝ぼけたりするのはレム睡眠中のことが多いです。
ノンレム睡眠はnon REMということで、目が動いていない睡眠状態です。ノンレム睡眠中は脳も眠っている熟睡状態です。
特に入眠後90分間は最も深い熟睡状態のノンレム睡眠になります。
そのため良質な睡眠を得るには入眠後90分間が重要となります。
入眠後90分間で成長ホルモンが最も多く分泌されることも分かっています。
成長ホルモンとは子供のころは成長に関係し、成人してからは新陳代謝などに関係するホルモンです。
以前は午後10時から午前2時が睡眠のゴールデンタイムと言われていましたが、それは成長ホルモンの分泌量が多い時間帯だと思われていたためです。今ではこの考えは誤りだとされています。むしろ入眠後90分間がゴールデンタイムだと言えます。
入眠後90分間を良質なものにするには、守りと攻め両方の対策が重要です。
守りとしては脳が覚醒してしまう食事や運動、パソコンやスマホの操作を寝る前に行わないようにすることです。
攻めとしては体温をコントロールすることです。
眠気は体温変化によって起こる
睡眠と体温には密接な関係があります。
体温には
- 体の表面の体温=皮膚温度
- 体の芯に近い部分の体温=深部体温
の2種類あります。
おでこで測る体温は皮膚温度、お尻の穴の中で測る体温は深部体温です。
深部体温と皮膚体温の差は通常2℃あります。
深部体温ー皮膚温度=2℃
例えば
皮膚温度が36.5℃なら深部体温は38.5℃ほどあります。
この深部体温と皮膚体温の差が、2℃より小さくなると脳は睡眠状態に入っていくことが分かっています。
つまり深部体温が下がるか皮膚温度が上がると眠気が出るわけです。
眠くなると手足が温かくなります。子供では特に顕著です。これも睡眠と体温の関係が影響しています。
手足が温かくなっているのは、血管が拡張して血流が増えているためです。
手足の血流が増える結果、血液が冷やされ深部体温が低下します。
その結果、深部体温ー皮膚温度<2℃となり、睡眠状態に入っていきます。
この特性を利用すれば、睡眠状態を作り出すことができるわけです。
皮膚温度を上がることは難しいので、深部体温を下げることで睡眠状態を作り出します。
深部体温を下げる効果的な方法
深部体温を下げるのに効果的な方法があります。
それは入浴です。
「あれ?入浴するのに深部体温が下がるっておかしくない??」
って思ったでしょう。その気持ち分かります。
入浴すると深部体温は上がる気がしますよね。
確かに入浴中から入浴直後は、深部体温は上昇します。
しかし人の体には、体温を一定に保とうとする働きがあるため、体温が上がったら下げようとします。
炎天下で運動をすると、汗をかいたり手足の血管が拡張するのは体温を下げるための働きです。
汗によって体を冷却し、体表の血流を増やし血液を冷やすことで、体温を下げるわけです。
この際上がった体温は元の体温にピッタリ戻るわけではありません。一旦元の体温より低く急速冷却され、その後徐々に体温を上げて元の体温に戻します。(運動後に汗をかいた後に体が冷えて寒気を感じるのは、元の体温より低くなるためです。)
そのため入浴直後の体温は上がっていますが、その後体温は徐々に下がっていき、一時的に元の体温より低くなります。
入浴後元の深部体温より低くなるのは90分後です。
入浴後90分から眠気が出現することになります。
この特性を利用するのです。
つまり寝る時間から逆算して90分前に入浴を終えるようにするのです。
40℃のお湯に15分間入浴を目安にしましょう。
40℃以下15分未満だと深部体温変化が不十分なため効果がありません。
入浴できないときは足湯だけでも近い効果が得られます。桶やバケツにお湯を入れて足を温めましょう。
温泉や炭酸泉ではより効果的なことが実証されています。
入浴剤でも代用可能なので使用を検討してみましょう。
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