お酒に弱い理由

はじめに

成人すると飲酒する機会があります。

通常は成人して初めて自分がお酒に弱いのか、強いのかを知ります。

ある程度遺伝的要因もありますが、父親が酒豪でも母親がお酒に弱ければ、お酒に強くなるとは限りません。

ちなみに僕の両親は、父親はザルと言われるほどの酒豪でしたが、母親がビール1杯で顔が真っ赤になるタイプでした。僕はといいますと、母親と一緒ですぐに顔が赤くなってしまうタイプですが、そこからペース配分を守ればある程度量は飲めるので、両親の体質を半々で受け継いだようです。

顔が赤くなったり、二日酔いになったりするのは、厳密にはアルコール分解酵素アルデヒド分解酵素に依存します。これらの分解酵素を分泌する能力には遺伝的側面もありますが、アルコールを飲酒する習慣を持つことである程度増やすことができます。先程ある程度遺伝的要因があると発言させていただいたのはそのためです。

今回はお酒に酔いやすかったり、二日酔いになる原因について解説します。

この記事を読めば、節度を持った飲酒習慣を身に付けることができます。

アルコールは体内でどのように変化するのか

アルコールを飲酒すると口から食道を通って、胃に運ばれ、その後腸に流れていきます。その過程で胃で20%、小腸で80%吸収されます。

胃腸で吸収されたアルコールは肝臓に運ばれます。

肝臓は解毒を行う臓器です。

アルコールは人体にとっては毒とみなされるため、肝臓で分解し解毒されます。

ちなみに薬も人体にとっては毒とみなされるため肝臓で分解されます。

では肝臓でどのように解毒されるのでしょうか。

体内でのアルコールの変化の図
アサヒビールH.P.より引用

肝臓にはアルコールを分解するアルコール脱水素酵素が存在しています。

アルコールがアルコール脱水素酵素によって分解されると、アセトアルデヒドという物質になります。

このアセトアルデヒドが二日酔いの原因となります。

アセトアルデヒドは肝臓内でさらにアルデヒド脱水素酵素によって、酢酸という無害な物質に分解されます。

酢酸は血液に溶けて肝臓から外に出され、水と二酸化炭素に分解され、尿や汗、吐く息に混じって排泄されます。

人体ってすごいですよね!アルコールを水と二酸化炭素に分解して無毒化させる力が備わっているんですけら!!

体に感謝です☆彡

酒酔いには2タイプある

実は人によってアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素の量が異なります。

酵素量の違いによって酔い方が2タイプに分かれます。

その場で酔いつぶれるタイプ(アルコール脱水素酵素が少ない)

ちょっと飲酒しただけで顔が赤くなってしまい呂律が回らなくなるなどの変化がすぐに表れるのが、アルコール脱水素酵素が少ないタイプの人です。アルコールをなかなか分解できないため、飲んだ分だけアルコールの影響がその場で出てしまいます。酔いつぶれてしまうのは、アルコール脱水素酵素が少ないタイプの人です。

二日酔いタイプ(アルデヒド脱水素酵素が少ない)

アルコール脱水素酵素は多いけどアルデヒド脱水素酵素が少ない場合は、あまり顔色も変わらずその場ではたくさん飲めるんですが、アルデヒドが徐々に蓄積し、時間差で体が辛くなります。いわゆる二日酔いになりやすいのが、アルコール脱水素酵素が少ないタイプの人です。

上手に飲酒するために

まずあなたがどのタイプなのかを把握することです。

両方の酵素がたくさん存在していて酔わないタイプの人は特に気にすることはありません。

ただし過量の飲酒は肝臓をはじめ体の様々な臓器をむしばむので、健診は定期的に受けるようにしましょう。

アルコール脱水素酵素が少ない人(アルコール型)は酔いが早く回るので、飲み過ぎるとその場で辛くなりますし、周囲も顔が真っ赤なのに気付いて気を使ってくれるので、過飲してしまう危険性は少ないです。限度を超えれば吐いてアルコールを体外に強制排出します。

飲酒習慣をもつことで、ある程度アルコール脱水素酵素を増やしお酒に強くなれますが、それにも限度があります。

自分の酔い具合を冷静に判断しながら飲酒するよう心がけましょう。

アルコール脱水素酵素は多いけど、アルデヒド脱水素酵素が少ない人(アルデヒド型)は、お酒を飲んでもすぐに分解されてしまうため、酔いを自覚できず顔色も変化しません。そのためキャパを超えて飲んでしまう危険性があります。その結果アルデヒドが大量に蓄積し二日酔いになります。

経験的にどれくらい飲むと二日酔いになるのかを知り、その量を超えないよう心がけましょう。

どちらのタイプにも共通して言えることですが、小腹を埋めてから飲酒するようにしてアルコールの吸収を遅らせたり、適度に水やソフトドリンクなどを飲みながら飲酒するようにすることで、アルコールの影響を減らすことができます。

体調がすぐれないときは代謝が低下していて酵素の働きが鈍るので、飲酒は控えましょう。

飲酒後はスポーツ飲料など電解質を含んだ水分を1L を目標に飲むようにしましょう。

酔いの程度を客観的に評価するには、心拍数を測るのもひとつの手です。

脈をとったり心臓の拍動を確認して、心拍数が増えているようであればアルコールの影響が出ている証拠です。水やソフトドリンクを挟んだりしてペースダウンしましょう。

さいごに

酒は百薬の長と言われるように、適量であればストレスを減らしたり血行をよくしたりする効果が期待できます。

しかし過量となれば、理性がはたらかなくなり、問題行動を起こして人間関係を壊したり、犯罪行為をしてしまったりする危険性があります。

長期間に渡る過量な飲酒は、アルコール依存症や肝硬変、肝ガン、脳萎縮などの危険性があります。

適量を知り楽しく飲酒しましょう!