HIVにさらされても感染するとは限らない
エイズとはacquired immunodeficiency syndrome=後天性免疫不全症候群の頭文字をとった AIDSが語源です。
ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)が感染し、全身の免疫が機能しなくなった状態をエイズといいます。
全身の免疫が機能しなくなると、普通ではかからない感染症や悪性腫瘍を引き起こします。
近年では治療薬の開発が飛躍的に進んだため、初期に発見し適切な治療を受ければ、免疫力を落とすことなく普通の生活を送ることが可能となってきています。
しかし初期は無症状であったり、重い症状がほとんどないため、HIVに感染したことに気付かないことも多いです。
その結果、パートナーを感染させてしまったり、初期に適切な治療を行うことができずエイズを発病してしまうことが多いです。
日本では毎年1500人前後のHIV感染者/AIDS患者が発生しています。
世界では年間180万人の新たに感染し、100万人がエイズによってお亡くなりになっています。
お亡くなりになっている方の多くは、HIV感染を早期に発見できなかったり、適切な治療を受けられなかった人たちです。
近年HIVに対する様々な薬が開発され、早期にHIV感染を発見し治療を開始すれば、HIVの増殖を抑えて免疫力を維持し、元気に長生きできるようになっています。
そもそもHIVにさらされても必ず感染するわけではありません。
長期間にわたってHIVにさらされているにも関わらず感染しない人もいます。
HIV感染したのに治療を受けないとどうなるか
HIVに感染したとしても、10年以上発病しない人も多く存在します。
さらに治療を受けていないにも関わらず、20年以上発病しない人もまれにいます。
発症までの期間に大きな個人差がある理由は完全には分かっていません。
遺伝的要因などが影響しているようです。
HIVに感染したのに治療を受けないと、ほとんどの人がエイズを発症します。
治療を受けないとエイズを発症する割合は次のように推定されています。
- 感染後最初の数年間:毎年1~2%
- その後毎年:5~6%
- 10~11年以内:50%
- それ以降:95%以上
治療を受けなくてもすぐにエイズを発病することは少ないですが、10年以上経過すれば多くの人がエイズになってしまいます。
しかし治療をきちんと受ければ、エイズの発病を防ぐことはできます。
薬を服用してもHIVを完全に消すことはできませんが、害がないレベルまで減らすことはできます。
検査でHIVのRNAが検出不可能なレベルに下がれば、相まって免疫細胞が増えます。
その結果、正常な免疫状態を維持することができるわけです。
たとえHIVに感染したとしても、健康な人と同じような生活を続けることができるのです。
しかしながら薬の副作用に耐えられないなどの理由で用法容量を守って薬の服用を続けられない場合は、免疫力が低下しエイズを発病してしまいます。
最終的には体重や体力が大幅に減少し、日和見感染症(普通の免疫力であれば無害な微生物によって起こる感染症)、ガン、その他の病気が起こり命を失ってしまいます。
エイズを発病しないためには、早期にHIV感染したことを知り治療を開始することが重要です。
複数のパートナーと性行為を行ったり、素性の分からない人と性行為に及んだり、海外で性行為を行った経験があったりすると、HIVに感染している可能性があります。
自覚症状がなくても感染していることが多々あります。
HIVは感染したとしても、初期は風邪のような症状が現れて自然に治まってしまうため、気付かないことが多いです。
性活動が活発な方は、症状がなくても定期的に検査を受けることをお勧めします。
まとめ:保健所や自宅で検査は受けられるので活用しましょう
エイズの発症を予防するには、早期発見が鍵になります。
少しでも不安があれば、検査を受けるようにしましょう。
保健所などでは無料の検査を行っています。
こちらのサイトで地域を指定して検索できます。
対面で検査を受けるのに抵抗があれば、有料にはなりますが自宅で自分で行って郵送するだけできる検査もあります。