クラミジアとは
クラミジアは日本で最も多い性感染症です。
最近は10代、20代で急増しており、特に女性の感染が増えています。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)による2019年の発表では、20代女性のうち20人に1人がクラミジアに感染しているとされています。
クラミジアは泌尿器や生殖器のほか、眼、ノドにも起こります。
またクラミジアは症状が現れにくいという特徴があります。
CDCの発表では、女性で症状があるのは5-30%のみ、男性の場合は約10%のみとなっています。
そのため知らずに感染してしまうことが多いです
女性がクラミジアに感染した場合、卵管が詰まって不妊症になる可能性があります。
男性の場合も、睾丸(こうがん)の上に存在する副睾丸が両方とも炎症を起こすと、不妊の原因になります。
不妊に関係するクラミジアを予防することは非常に大切なことです
クラミジア・トラコマチスは細菌に分類されていますが、普通の細菌とは違って自力で増殖できません。
自力で増殖できない細菌を偏性細胞内寄生細菌といます。
クラミジアとはクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis )が病原体の性感染症です。
偏性細胞内寄生細菌を簡単に説明すると、寄生(パラサイト)した細胞からエネルギーを奪い取るタイプの細菌のことです。そのため動物の細胞内でしか増殖ができません。
普通の細菌は自分のエネルギーを使って細胞外でも増殖できます。
動物の細胞内でしか増殖できないという特徴は、ウイルス(風邪やインフルエンザなどの原因となる病原体)と一緒です。
しかしクラミジア・トラコマチスは、大きさや構造が細菌に近いため、細菌に分類されています。
クラミジア・トラコマチスは細菌とウイルスの中間的な存在といえます。
そのような独特な特徴のためか、人間の免疫細胞はクラミジア・トラコマチスを排除するのが苦手です。
そのためクラミジアは再発を繰り返すことが多いです。
クラミジアの原因
クラミジア・トラコマチスが感染する原因は、出産か性行為の際です。
出産の際に感染するのは、赤ちゃんが母親の産道を通る際、母親の産道に存在しているクラミジア・トラコマチスが胎児に感染するためです。感染すると赤ちゃんが肺炎を起こしたり結膜炎を起こす原因となります。
妊婦の3~5%が無症状でクラミジア感染していると言われています。
成人のクラミジアは、性行為関連で感染します。
クラミジア・トラコマチスが感染する場所は、性器の粘膜や粘液が多いです。
粘膜同士が触れたり、粘液が混ざり合うことで他の人に感染します。
また粘液が付着した手で目をこすることで目の粘膜に感染したり、男女ともにオーラルセックスをすることで性器からノドの粘膜に感染することもあります。
逆にノドから性器に感染する可能性もあるので注意が必要です。
軽めのキスをしたり、飲食を共有したり、一緒のお風呂に入るといったことでは感染しないとされているので安心してください。
クラミジアの症状
上述したようにクラミジアは無症状のことが多いですが、以下のような症状が出ることもあります。
女性器
女性では無症状のことが多いですが以下のような症状があれば感染が疑われます。
ただしこれらの症状は女性の性感染症全般に現れる症状であって、クラミジアに特徴的な症状ではありません。
感染が広がると、子宮頸管炎、骨盤内付属器炎、肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症 候群)、不妊などを起こしてしまう可能性があります。
男性器
男性では尿道炎が最も多いです。尿道炎になると以下のような症状があります。
ただしこれらの症状は尿道炎の症状であって、クラミジアに特徴的な症状ではありません。
クラミジアは若年層の精巣上体炎の原因になります。
精巣上体とは、精巣の上にあるコイル状の管で、精子が成熟するための場所です。
精巣上体炎とは、精巣上体に炎症を起こすことです。症状としては痛みや熱
のど
慢性的な扁桃腺炎や咽頭炎で、一般的な抗生物質が効かない場合は、クラミジアが原因の可能性が高いです。
眼
結膜炎を起こします。膿んだ目ヤニや眼の充血、まぶたの裏のブツブツなどを起こします。
治療
治療は抗生物質の投与となります。
良く使われる抗生物質は以下の通りです。
- アジスロマイシン(商品名ジスロマック) 1日1000mg 1日間
- クラリスロマイシン(商品名クラリス、クラリシッド)200mg朝夕×7日間
- ミノサイクリン(商品名ミノマイシン)100㎎朝夕×7日間
- ドキシサイクリン(商品名ビブラマイシン)100㎎朝夕×7日間
- レボフロキサシン(商品名クラビット)100㎎朝昼夕×7日間
- トスフロキサシン(商品名オゼックス)150㎎朝夕×7日間
定期的な検査での早期発見が重要!
クラミジアは症状が現れにくいため、知らずに感染している可能性があります。
その結果、パートナーを感染させてしまう危険性があります。
そのため、定期的に検査を行い、早期発見することが重要です。
自宅で簡単にできて匿名で受けられる検査キットもあるのでご検討ください。