知っていますか?HIVとエイズの違い
HIVとエイズを混同している人が多いので、まずはHIVとエイズの違いについてお話します。
まずはHIVとエイズのちがいを理解しましょう。
AIDS(acquired immunodeficiency syndrome=後天性免疫不全症候群)という病名です。
HIVというウイルスに感染して、重症化してエイズになります。
HIV=ウイルスの名前
エイズ=病気の名前
ここで強調しておきたいのが、
HIVに感染した≠エイズ
ということです。
HIVに感染していても、普通の人と同じ状態で過ごせていればエイズではありません。
免疫力が無くなった状態がエイズです。
HIVは、CD4+陽性リンパ球と呼ばれる白血球の一種を破壊します。
リンパ球は、細菌やウイルスなどの微生物、ガン細胞などを排除する役割を果たしています。
HIVによりCD4+陽性リンパ球が破壊されると、微生物に対する防御力が低下しエイズを発病します。
その結果、微生物による感染症が重症化し、適切な治療を行わないと命に失ってしまいます。
HIVってどんなウイルス?
HIVがどんなウイルスなのかを簡単に説明すると
HIVは、免疫細胞に寄生して増殖し、免疫系を破壊するウイルス
となります。
これだけではよく分からないと思うので詳しく説明します。
HIV自体は弱いウイルスなので、普通の環境下では生存できません。
そのため咳やくしゃみなどで感染する空気感染や、ウイルスが付着して感染する接触感染は起こりません。日常生活だけで感染することはありません。
感染するのは血液や体液が混ざり合った時のみです。
具体的には
- 輸血や移植
- 性行為
- 一度使用した注射針の刺入
- 母子感染(HIVが体内にいる状態で妊娠した際、胎児に母親の血液が流れることで起こる感染)
などです。
HIVは血液や粘液を介して体内に侵入すると、次のようにしてエイズを発病させます。
- 病原菌から体を守っているリンパ球(CD4陽性リンパ球やマクロファージ)の表面にくっつきます。
- 自分の遺伝情報の暗号文(RNA)を細胞内に注入します。
- 遺伝情報の暗号文を解読して遺伝情報(DNA)が作られます。
- 遺伝情報(DNA)を、寄生した細胞のDNAに潜り込ませます。
- 細胞はウイルスの遺伝情報(DNA)を元に、ウイルスを大量に作り出させられます。
- その結果、細胞はウイルスによって破壊されます。
- これを繰り返すことで、全身のリンパ球がHIVに破壊されます。
- リンパ球が減り、免疫力が低下します。
最終的には免疫力がない状態になってしまいます。
免疫力がない状態がエイズ=後天性免疫不全症候群です。
エイズってどんな状態?
HIV感染した人が
特定の病気が1つでも生じる
もしくは
CD4陽性リンパ球数が大きく減少する
※血液1マイクロリットル当たりのCD4陽性細胞数が200個未満が目安
場合にエイズと診断されます。
エイズの診断に関わる特定の病気はエイズ指標疾患と呼ばれ、以下のものがあります。
エイズになると、普段は無害な微生物によって病気が引き起こされてしまいます。
真菌感染症がその代表です。
真菌とはカビのことです。
つまり肺にカビが生えてしまうのです。
普通の免疫力があれば、肺にカビが生えることはありません。
しかしエイズになると、免疫力がほぼ機能しなくなってしまい、肺にカビが生えるというありえないことが起こるのです。
他にも以下のような感染症になりやすいです。
- 結核
- サイトメガロウイルス感染症
- トキソプラズマ脳症
- 非定型抗酸菌症
また免疫はガン細胞を排除する役割を果たしています。
そのためHIVが感染して免疫が機能しなくなると、ガンになりやすくなります。
このような様々な病気を発病することで、命を失ってしまいます。
そのためかつてはHIVに感染することは死を意味しました。
しかし最近では様々な薬が開発され、HIVの増殖を抑えることができるようになっています。
HIVに感染しても免疫力を維持し発病せず健康に過ごせるようになっており、死亡率が低下しています。
まとめ
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Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスの名前です。