淋病の症状【医師解説】

淋病とは

クラミジアと並んで頻繁にみられる性病に淋病(りんびょう)があります。

淋病とは俗称で、正式には淋菌感染症といいます。

淋菌( Neisseria gonorrhoeae)という細菌が感染することで起こる病気なので、淋菌感染症といいます。

淋菌は高温にも低温にも弱い細菌です。さらに発育するのに炭酸ガスを必要とするため、普通の環境では生きることができません

そのため粘膜同士の接触、つまり性行為でのみうつる病気です。

1回の性交で約30%の確率でうつるとされています。

通常の性交以外にも、オーラルセックスやアナルセックスでもうつります。

性行為の頻度が多い20代に多くみられます。

今回は性行為を行うのであれば誰もがなる可能性がある淋病について解説します。

こんな方にオススメの記事です

小便をする際に痛みを感じる

尿道から膿(うみ)が出ている

おりものがドロッとした膿のような状態になっている

淋病の症状を知りたい

この記事を読めば、淋病症状について知ることができます

淋病の症状

淋病の症状は、男性で現れやすく女性では現れにくいという特徴があります。

まずは男女それぞれの症状について解説します。

そのあとに近年増えているノド、肛門の症状と、出産時に赤ちゃんが感染したときの症状、全身に広がったときの症状について解説します。

男性の症状

男性のうち約75%で症状が見られます。

症状は感染後2~14日ほどして現れます。

主な症状は、尿道炎精巣上体炎によるものです。

尿道炎

尿道で細菌が繁殖することで炎症を起こしたものを尿道炎と呼びます。

尿道とは、膀胱(ぼうこう)に溜まった尿を陰茎の先から排出するための管です。

尿道炎による症状は以下の通りです。

  • はじめは不快感があるのみ
  • 数時間すると排尿の際に痛みを感じる
  • 陰茎の先から多量の黄白色~黄緑色の膿(うみ)が出る
  • 陰茎の先が赤く腫れ
  • 頻尿になる

精巣上体炎

精巣(睾丸)の上にあるコイル状の精巣上体に細菌が広がると、精巣上体炎を起こします。

精巣上体炎の症状は以下の通りです。

  • 陰嚢(睾丸の入っている袋)が腫れる
  • 精巣を触わると痛むことがある
  • 痛みのあまり歩くのが辛くなることもある
  • はじめは片側だけ症状が現れることが多い
  • 時間とともに両側に症状が現れる
  • 熱が出ることもある
  • 無精子症になる可能性がある

女性の症状

女性のうち約10~20%は症状がほどんどありません。そのため男性のパートナーが感染していることで検査を受けて初めて発見されることが多いです。

感染してから10日以上経って症状が現れます。

症状が出る場合は、男性同様尿道炎による症状のほか、子宮頚管炎卵管炎お腹の炎症に伴う症状が現れます。

尿道炎

尿道で淋菌が繁殖すると尿道炎を起こし以下のような症状が現れます。

  • 陰部に軽い違和感
  • 腟から膿のような分泌物
  • 頻尿
  • 排尿時の痛み

子宮頚管炎

膣の奥にある子宮の頚管という場所で淋菌が繁殖すると、子宮頚管炎を起こします。

子宮頚管炎は無症状のことがほどんどです。

器具を用いて子宮口を観察すると、ドロッとした膿のようなものが付着しています。

卵管炎

細菌が子宮のさらに奥まで達すると、卵管という子宮と卵巣をつなぐ管に感染することがあります。卵管で細菌が繁殖した状態を卵管炎といいます。

卵管炎になると、強い下腹部の痛みが現れます。特に性交時に痛みを感じやすいです。

お腹の炎症

一部の女性では、淋菌が腹膜(内臓を包む膜)に広がって腹膜炎を起こしたり、 骨盤内に炎症を起こしたりしてます。

腹膜や骨盤内に炎症が起こると、下腹部に激痛が生じます。

骨盤内で炎症が起こると、不妊症子宮外妊娠になる可能性があります。

さらに淋菌が肝臓の周りにまで及ぶこともあります。この状態を肝周囲炎といいます。

肝周囲炎にになると、右上腹部に痛みが出ます。

近年増えているノド、肛門の症状

オーラルセックスを行うことで、ノドで淋菌が繁殖し咽頭炎(いんとうえん)を起こします。

咽頭炎は症状がないことがほとんどですが、ノドの痛みを感じることがあります。

淋菌感染者の10~30%の咽頭で淋菌が見つかります。

またアナルセックスによって、直腸で淋菌が繁殖し直腸炎を起こることもあります。

直腸炎は症状がないことがほとんどですが、まれに以下のような症状が現れます。

  • 排便時の痛みや出血
  • 便秘
  • かゆみ
  • 分泌物が出る
  • 肛門周囲が赤くなって皮膚がむける
  • 便の表面が粘液や膿で覆われている

赤ちゃんの症状

淋菌が感染する特殊なケースとして、出産時に母親から赤ちゃんに感染する産道感染があります。

赤ちゃんが感染した場合は両目に結膜炎を起こします。結膜炎をはまぶたの裏から白目の部分を覆っている半透明の膜に炎症を起こすものです。

早期に治療しないと失明する危険性があります。

成人でも淋菌を含んだ体液が目に入ることで、結膜炎を起こします。成人の場合は片目のことが多いです。

播種性淋菌感染症(関節炎皮膚炎症候群)

淋菌が血流に乗って体の他の部分で感染することがあります。このような状態を播種性(はしゅせい)淋菌感染症といいます。

特に皮膚関節で起こることが多いので、関節炎皮膚炎症候群ともいいます。

関節の症状としては

  • 関節が腫れがて触れると痛い
  • 関節を動かすときに強い痛みが出るため動きが制限される
  • 感染した関節の上の皮膚が赤くなり熱をもつ
  • 発熱があり体調不良
  • 少なくとも1カ所の関節炎がみられる

といったものがあります。

皮膚の症状としては

  • 小さな赤い斑点が腕や脚にみられる
  • 斑点はわずかに痛みがあり膿をもつ

といったものがあります

ごくまれですが心臓に感染することもあります。

まとめ

  • 淋病は女性では症状が現れにくいため、パートナーを感染させてしまう危険性があります。
  • 男性でも1/4の人は症状が現れません。
  • 男性は尿道炎や精巣上体炎に伴う症状が出ます。
  • 女性は尿道や女性器のほかに、お腹の中まで感染が広がることがあります。
  • 出産時赤ちゃんの目に感染することもあります。
  • 定期的に検査をすることで早期発見・早期治療につながります。

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