梅毒の治療【医師解説】

梅毒とは

梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies pallidum)という細菌による感染症で、性行為によって感染する性感染症(性病)のひとつです。

皮膚や粘膜の小さな傷から梅毒トレポネーマが侵入、その場所にデキモノができます。

さらに血液の流れによって梅毒トレポネーマが全身にばらまかれるため、全身の臓器(目や耳、肝臓、腎臓、血管、髄膜など)にも症状が出ます。

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梅毒は放っておくと全身の臓器に害が及ぶばかりか、パートナーを感染させてしまう可能性がある怖い性病です!

重要なのは早期発見、早期治療です。

早期発見に便利な方法として、郵送で行える検査もあります。

検査の結果、梅毒の可能性が高ければ、速やかに治療を開始することが重要です。

今回は梅毒の治療について解説します。

こんな方にオススメの記事です

梅毒が流行しているので、もし感染したらどんな治療をするのか知っておきたい

梅毒になった可能性があって不安

この記事を読めば、梅毒にはどんな治療が行われるのかを知ることができます

梅毒の治療

梅毒の治療にはペニシリンという抗生物質が第一選択になります。

ペニシリンはアレクサンダー・フレミングによって1928年にカビの胞子から発見された世界で初めて治療薬として使われた抗生物質です。

フレミングは1945年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

これだけ歴史ある抗生物質ですが、梅毒に対してはいまだに最も効果的な薬です。

梅毒は飲み薬の合成ペニシリン500mgを1日3回朝昼夕内服して治療します。

ペニシリンにアレルギーがある場合は、塩酸ミノサイクリン(商品名ミノマイシン)200㎎1日2回朝夕で内服します。

妊娠している場合は、アセチルスピラマイシン200㎎1日6回内服します。

投与期間は

  • 第Ⅰ期:2~4週間(約1カ月)
  • 第Ⅱ期:4~8週間(約1~2か月)
  • 第Ⅲ期以降:8~12週間(約2~3カ月)

です。

症状のない梅毒でも活動性が高い(STS法という検査方法で抗体価が16倍以上)場合は治療する方が良いと言われています。

梅毒による髄膜炎により脳神経が侵された場合は、ペンジルペニシリンカリウム(商品名 結晶ペニシリンGカリウム)200~400万単位を1日6回10日から2週間点滴します。

先天梅毒の場合もペンジルペニシリンカリウムによる点滴治療が行われます。

治療を開始して数時間で梅毒の原因菌である梅毒トレポネーマが破壊され始めます。

梅毒トレポネーマが破壊されることで、39度前後の熱や全身のだるさ、寒気、頭痛、筋肉痛、発疹の悪化が起こりますが、問題ありません。

治療効果の判定

治療が終了した後、症状が残ったり再発せず、STS法で抗体価が8倍以下に低下していれば、ひとまず治療がうまくいったと考えます。

もし6カ月以上経過してもSTS法で16倍以上を示していれば、治療がうまくいっていないか再発している可能性があります。

その際は再治療を行います。

また治療がうまくいかない場合、HIV感染によるエイズAIDSを併発している可能性があるので、HIV検査が必要になります。

HIV

Human Immunodeficiency Virus=ヒト免疫不全ウイルス

AIDS

Acquired Immuno Deficiency Syndrome=後天性免疫不全症候群

エイズ検査にも対応

パートナーの治療

次の条件に当てはまるパートナーがいる場合は、パートナーも感染している可能性が高いです。

  • 第Ⅰ,Ⅱ期梅毒と診断され、過去90日以内に性的行為があったパートナーがいる
  • 1年以内に感染した無症候性梅毒と診断され、過去90日以内に性的行為があったパートナーがいる

上記に当てはまるパートナーがいれば梅毒検査を受けるよう勧めてください。

自宅で簡単にできる検査キットなら、気軽に検査を受けてもらいやすいです。

まとめ

  • 梅毒は基本的には抗生物質の内服で治療を行います。
  • ペニシリンという抗生物質が有効です。
  • 脳神経に影響が出ている場合は点滴による治療を行います。
  • パートナーに感染させている可能性があるので検査を勧めましょう