淋病とは
クラミジアと並んで頻繁にみられる性病に淋病(りんびょう)があります。
淋病とは俗称で、正式には淋菌感染症(りんきんかんせんしょう)といいます。
淋菌( Neisseria gonorrhoeae)という細菌が感染することで起こる病気なので、淋菌感染症といいます。
淋菌は高温にも低温にも弱い細菌です。さらに発育するのに炭酸ガスを必要とするため、普通の環境では生きることができません。
そのため粘膜同士の接触、つまり性行為でのみうつる病気です。
1回の性交で約30%の確率でうつるとされています。
通常の性交以外にも、オーラルセックスやアナルセックスでもうつります。
性行為の頻度が多い20代に多くみられます。
症状としては
- 尿道や膣から膿(うみ)が出る
- 頻尿になる
- 排尿の時に痛みが出る
- 精巣(睾丸)が腫れて痛い
などがあります。
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今回は淋病の治療について解説します。
★淋病になった可能性がありどんな治療があるのか知りたい
★淋病の治療を受けていて、今の治療が正しいのか知りたい
この記事を読めば、淋病の治療法について知ることができます
淋病の治療
淋病の治療には淋菌を殺菌する効果のある抗菌薬(抗生物質)を用います。
抗菌薬の効果は、感染している場所によって異なります。
そのため、感染している場所ごとに使う抗菌薬が異なります。
淋菌は抗菌薬に対して抵抗する能力が高いため、以前は効果のあった抗菌薬が次々に効かなくなっています。
抗菌薬に抵抗する能力をもった菌を耐性菌(たいせいきん)と呼びます。
かつてペニシリンGという抗菌薬が最も頻繁に使われていましたが、耐性菌が増えてしまい効果がなくなってしまいました。対策としてペニシリンGの使用が行われなくなった結果、最近ではペニシリンGに対する耐性菌は数%以下になっています。
その後新しいタイプの抗菌薬であるβ-ラクタム系が使われるようになりましたが、現在では耐性菌が90%以上占めており、β-ラクタム系は使用できなくなっています。
さらにテトラサイクリン系やニューキノロン系といったタイプの抗菌薬に対する耐性菌も80%を超えています。
第三世代セフェム系というタイプの抗菌薬が元々有効でしたが、最近は30~50%ほどが耐性菌になってきています。
そんななか、有効性が確認されている抗菌薬をご紹介します。
尿道炎・子宮頚管炎
- セフトリアキソン(商品名ロセフィン):1.0gを1回静脈注射
- セフォフォジム(ケニセフ、イノセフ):1.0gを1回静脈注射
- スペクチノマイシン(トロピシン):2.0gを1回筋肉注射
ただしノドの感染が一緒にある場合、ノドにも有効なのはセフトリアキソンです。
精巣上体炎・骨盤内炎症性疾患
- セフトリアキソン(ロセフィン):程度によって1日1.0gの静脈注射を1日1~2回、1~7日間
- セフォフォジム(ケニセフ、イノセフ):程度によって1日1.0gの静脈注射を1日1~2回、1~7日間
- スペクチノマイシン(トロピシン):程度によって2.0g筋肉注射1回に加え、3日後に両側のお尻に2.0gずつ筋肉注射
ノドの感染
- セフトリアキソン(商品名ロセフィン):1.0gを1回静脈注射
- セフォフォジム(ケニセフ、イノセフ):1.0gまたは2.0gを1日1~2回、1~3日静脈注射
ノドの感染にはスペクチノマイシンの効果が弱いので使用しません。
セフォフォジムは1回の投与では50~60%しか除菌できないため、複数回の投与が必要です。
播種性淋菌感染症
- セフトリアキソン(ロセフィン):1.0gを1日1回静脈注射、3~7日間
- セフォフォジム(ケニセフ、イノセフ):1.0g1日2回静脈注射、3~7日間
淋菌結膜炎
スペクチノマイシン(トロピシン):お尻に2.0g筋肉注射
保険適応はありませんが、次の方法も効果があります。
- セフトリアキソン(商品名ロセフィン):1.0gを1回静脈注射
- セフォフォジム(ケニセフ、イノセフ):1.0gを1回静脈注射
セフメノキシム(ベストロン)の目薬は抗菌作用が強いですが、耐性菌に効果がない可能性があります。
治療のポイント
淋菌感染症の検査にオススメ!