目標を失ったときの対処法

はじめに

僕は元々日本一の整形外科医になりたいと思って懸命に働いていました。

しかし無理がたたって末期の悪性腫瘍を患ったことをきっかけに、その目標を諦めざるを得なくなりました。

その際「医療の最前線から退いた」「人生のステージから降りた」と感じました。

生きる目的を失ってしまい、自分に誇りを持てなくなってしまいました。

それまで必死に学んだ知識や習得した技術を、全て手放さなければならないことも気持ちを落ち込ませました。

将来を期待されていたスター選手が、ケガをきっかけに引退するときの心境に近いと思います。

しかしいくら嘆いていても時間は流れていきますし、人生は続いています。

過去に囚われていつまでも立ち止まっているわけにはいきません。

今回は僕が人生の目標を奪われてから、どのようにして新たな一歩を踏み出したのかについてお話したいと思います。

目標や目的を失ったり、夢に破れた人が、新たな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

目的や目標、夢を取り上げられる意味

目的や目標、夢に向かって挑戦するなかで、強制的に中断させられることがあります。

中断する理由としては、健康上の問題であったり、家庭の事情であったり、災害であったり様々です。

中断させられたとき、多くに人がネガティブに捉えがちです。

しかしネガティブに捉えても何一つ良いことはありません。過去に囚われていては前に進むことができず、一生を台無しにしてしまいます。

いくら考えても願っても、中断せざるを得ない状況を変えることはできません。

しかし状況の捉え方は変えることができます。

僕は整形外科医としての道が閉ざされたとき、

「天が与えた道が他にあるということなんだろう。きっと次のステージに進めということなんだ。今までの知識や経験が消えてしまうわけではない。きっとこれから先の人生で役立つことになるんだろう。」

と捉え方を変えました。

僕は特定の宗教の信者ではないので天と表現しています。

余命宣告を3回もされたにも関わらず生かされたことで、何かしら偉大な存在に守られているのを感じました。その偉大な存在を天と呼ばせてもらっています。あなたが信じる神様や仏様がいれば、置き換えてください。

それでも数年間は整形外科医として手術をしている夢を見ることが度々あり、潜在意識では諦めきれていないのを感じていました。

捉え方を変えたからといって、すぐに気持ちが切り替わるわけではありません。

それでも過去に囚われず前に進めるようになります。

大きな視点で俯瞰して考えることが重要なんだと思います。

天が幸せになるために全ての物事を采配しているとすれば、このことにはどんな意味があるのだろうか?

と考えてみてください。

それでも答えが出ない場合は

自分程度では分からないくらい凄い意味がきっとあるんだろう。その意味が分かるのを楽しみに前に進もう!

と考えましょう。

何年後か、何十年後か分かりませんが、意味に気付く瞬間が必ずおとずれます。

パナソニックの創業者松下幸之助さんの言葉が、物事の捉え方の参考になると思うので引用させてもらいます。

自分がここまでやって来られた理由は三つあります。

一つ目は、学歴がなかったことです。そのおかげで知らないこと、分からないことを人に聞いて教えてもらっていました。

二つ目は、家が貧乏だったことです。家が貧しかったおかげでわずかなお給金に喜びを感じられました。

三つ目は、体が弱かったことです。僕は体が弱くて先頭に立てなかったので、部下を信じて、思い切って頼むしかしょうがなかった。おかげで部下が育ちました。

学歴がないこと、家が貧乏だったこと、体が弱かったことは、多くの人が成功できない言い訳にします。

しかし捉え方を変えることで、全てプラスに転換できます。

最前線はどこにでもある

僕は急性期病院こそ医療の最前線だと信じていました。

それゆえに病気が寛解した後に、リハビリを兼ねてクリニックに勤務し始めた時、クリニックの院長に「医療の最前線を離れることを決意しました」と伝えました。

その時院長が発した言葉が

最前線はどこにでもある

というものでした。

この言葉にハッと気づかされました。

急性期病院が最前線だと僕が勝手に決めつけていただけで、それぞれの場所が最前線だったのです。

それからは考えを改めました。今、自分がいる場所を常に最前線と考え、「ここは何の最前線なのだろうか?」と逆方向に考えるようになりました。

お役目が用意されている

病気から寛解してから、今までとは異なる活動を開始したことで、様々な人と出会うようになりました。

そんななか出会ったある方から言われた言葉が

人それぞれ適したタイミングでお役目が与えられる

というものです。

人には各々、その時々に与えられるお役目があるという考え方です。

宗教的な話っぽいですが、この方は特定の宗教を信仰しているわけではありません。

経験を通して、そのように感じているというだけです。

この考えがあると心軽やかに生きることができます。

その時々、目の前にある仕事を一所懸命行ったり、目の前の人の力になろうとすることで、魂の成長があり、今世での使命を果たすことにつながります。

過去に囚われず、未来を憂うことなく、今ここに集中することで、あなたの役目が次々現れます。