原因
思春期のスポーツや運動によって脊椎分離症を起こした後骨癒合が得られないと、徐々に不安定性が増大し分離部が開いていきます。さらに腰の骨の前方円柱部分(椎体という)同士を上下に連結する椎間板と呼ばれるクッション材が加齢とともに崩れてくることで、椎間板の傾斜に向かって椎体が前方にすべっていきます。
このような状態を腰椎分離すべり症といいます。
整形外科外来を受診する人の約6%が分離症、1.5%が分離すべり症です。男女比では2~3:1と弾性で多く見られます。
40~50歳代の農業、漁業、建設業などの重労働従事者に多く見られます。
症状
腰痛、臀部痛は全員に認めます。運動時や同じ姿勢をとり続けると痛みが出やすいです。
太ももやすね、ふくらぎまで痛みが出ることも多いです。椎体の後ろを通る脊髄神経が圧迫されると、下肢のしびれや、休み休みでないと歩けなくなります(間欠性跛行)。
麻痺症状が起こることは稀です。
診断
腹ばいになって、すべり症のある部分の腰椎の後ろの出っ張り(棘突起)を押したり叩いたり動かしたりして痛みが出る場合は分離すべり症による痛みである可能性が高いです。
レントゲン撮影を行うと、分離すべり症は確定診断できます。
治療
保存的治療
まずは腰の安静をはかるためコルセットを着用し、重労働やスポーツを1~2週間休みます。併せて消炎鎮痛剤の内服や湿布・塗り薬などの外用剤を用いて症状の緩和を行います。
分離部に痛み止めや消炎作用の強いステロイド剤を注射する場合もあります。
コルセットは1~2か月を目安に着用します。
痛みが落ち着いてきたら、体幹筋の訓練や反り腰を予防する姿勢指導を行います。
手術
保存的治療では症状が治らず、仕事や生活に支障が出る場合や、脊髄神経が圧迫され下肢の症状が出る場合は手術を行います。
手術は後ろから金属のスクリューを骨に挿入しスクリュー同士を金属の棒で連結させる方法や、椎間板があった場所に椎間板のかわりになるスペーサーを挿入にして固定させる方法があります。
手術後6週で軽作業復帰、半年で重労働復帰が可能となります。
コメントを残す