はじめに
眩暈(めまい)は様々な原因で起こります。
眩暈の二大原因は脳と耳です。
なかでも耳が原因の場合が多いです。
特に多いのは頭の位置が変わった際に出現する良性発作性頭位眩暈症です。良性発作性頭位眩暈症は耳の奥の前庭(三半規管と耳石器)に問題があると起こります。
脳が原因の場合は脳梗塞や脳出血、脳腫瘍など重篤な病気であることがあります。
二大原因の他にも、意外と知られていない眩暈があります。
それが首が原因の頚性眩暈です。
この記事を読めば首が原因の頚性眩暈の原因や症状、治療について理解できるようになります。
頚性眩暈とは
首の骨(頚椎)に異常があることで起こる眩暈を総称して頚性眩暈といいます。
眩暈の種類は様々なため、症状だけで診断することが難しいです。
頚椎が原因で眩暈が起こることを知っている医師は少ないため、見落とされることも多いです。
頚性眩暈の原因
頚性眩暈の原因となる病気は2つあります。
椎骨脳底動脈血流不全と頚部後交感神経症候群です。
椎骨脳底動脈血流不全
心臓から出た大動脈から枝分かれして、頚椎を通って脳に向かう動脈を椎骨動脈といいます。
椎骨動脈が圧迫されると血液がスムーズに流れなくなります。
その結果、三半規管の血流が悪くなり眩暈が起こると考えられています。
椎骨動脈が圧迫される原因として、生まれつきの奇形やケガ、加齢現象、腫瘍などがあります。
頚部後交感神経症候群
頚部交感神経節と椎骨神経叢が刺激されることで起こる様々な症状を総称して頚部後交感神経症候群といいます。
頚部交感神経節とは頚椎前面にある交感神経の集まりのことです。交感神経とは体の機能を自動でコントロールする自律神経のひとつです。瞳孔の大きさを調節して目から入る光の量を調節したり、血流や体温を調節したりする働きをしています。
椎骨神経叢とは椎骨動脈を取り巻くように神経線維が網目状に張り巡らされた部分のことです。
頚部後交感神経症候群で起こる様々な症状のひとつに眩暈があります。
首を動かすと、頚椎が曲がったり伸ばされたりひねられたりします。その結果、頚部交感神経節と椎骨神経叢が刺激され眩暈が起こります。
頚性眩暈の見分け方
ポイントは首を動かすことで症状が強まるかどうかです。
僕の経験では上方を見上げた際に目の前が暗くなるようにして眩暈が出る場合は、頚性眩暈である可能性が高いです。
レントゲンやCT、MRIなどの画像検査を行うことで、椎骨動脈の狭窄を確認できれば診断が確定します。
頚性眩暈の治療
症状が出る首の動きが決まっていれば、その動きを避けるようにします。
症状が出る動きが分からず、眩暈が強い場足は、星状神経節ブロック注射を行うことで症状を改善できます。
星状神経節ブロック注射とは、首の前にある星状神経節に局所麻酔薬を注射することによって、神経の伝達を遮断して交感神経の緊張を緩める注射です。 その結果、血管が拡張し、血流が良くなるので眩暈の改善が期待できます。
腫瘍や頚椎の不安定性が原因の場合は、手術が必要となる場合があります。
さいごに
眩暈を耳鼻咽喉科や脳神経外科、脳神経内科などで調べてもらっても原因不明であり、かつ首の動きと眩暈の出現に関連がある場合は、頚性眩暈である可能性が高いです。
その際は整形外科を受診するようにしてください。
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