はじめに
誰にでも憂鬱な日はあります。
仕事や人間関係のストレスなど外的な要因によって憂鬱になることもあれば、特に理由もなくバイオリズムやホルモンの関係で憂鬱になることもあります。
憂鬱を避けることはできません。
僕は急性期病院に勤務し多忙を極めていたころ、毎日が憂鬱でした。
しかし余命宣告を受けたことをきっかけに、憂鬱への対策方法を見つけることができました。
この記事を読めば、あなたも憂鬱な気分への対策ができるようにらります。
憂鬱とは
そもそも憂鬱とは何なのでしょうか。
辞書によると
① 気が晴れないこと。心配事があって心がふさぐこと。また、そのさま。
② (①から) いやな感じであることを軽く言う。
③ 草木の深く茂ること。また、そのさま。〔儲光羲‐舟中別武金壇詩〕
精選版 日本国語大辞典
となっています。
一般的には①として使われています。
医学的には、セロトニンという神経伝達物質が不足すると憂鬱になります。
セロトニンは別名『幸せホルモン』とも呼ばれます。
トリプトファンというアミノ酸から合成され、脳の視床下部や大脳基底核・延髄の縫線核などにたくさん存在しています。
セロトニンは他の神経伝達物質であるドパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。
セロトニンンの量が不足すると、憂鬱な気分になってしまいます。
憂鬱への対策
憂鬱への対策として、セロトニンの分泌が鍵となります。
医学的に証明されているセロトニンを増やし活性化させる方法と、僕自身経験で身に付けた憂鬱を吹き飛ばす方法をご紹介します。
日に当たる
日に当たる時間が短いと、セロトニンの分泌量が減り、憂鬱な気分になりやすいことが分かっています。
冬になると気持ちが落ち込みやすくなるのをウィンターブルー(冬季うつ)と呼びますが、これも冬になり日照時間が短くなることが影響しています。
冬は夏に比べてセロトニンの分泌量が約1/4も減少します。
特に日照時間が短くなる北国でウィンターブルーになりやすいです。
逆に日照時間を長くすることで、憂鬱を改善できるます。
対策としてはできるだけ日に当たる習慣を身に付けることです。
屋内で過ごす際も、窓際で日を浴びるようにしましょう。
運動する
運動を行うことでセロトニンが活性化します。
特にリズミカルな運動が効果的です。
ウォーキングやジョギング、サイクリング、ダンス、縄跳びなどがおススメです。
15分ほどの運動でセロトニンは活性化します。
朝10時までに運動するとより効果的です。
憂鬱だと感じたときは、15分ほど散歩をしてみましょう!
瞑想する
瞑想と聞くと難しい印象があるかもしれませんが、まずはリラックスできる体勢で深呼吸をするだけで大丈夫です。
その結果、セロトニンの分泌量が増加することに加え、幸福感を与えるエンドルフィンが分泌されます。
楽しみをつくる
ちょっとした楽しみや、自分へのご褒美を用意することで気分を上がられます。
好きなものを食べるとか、楽しみにしていた新刊やグッズを買うといったささやかなものでも、十分憂鬱を吹き飛ばすことができます。
もう少し大きな楽しみとしては、週末に小旅行の計画を立てたり、ショッピングに出かけたりなどもおススメです。
笑顔を作る
楽しいから笑顔になるのと同様、笑顔になることで楽しくなることができます。
脳は笑顔=楽しいと認識するので、笑顔を作るだけで楽しい気持ちになります。
作り笑いでも効果があるので、笑顔を作ってみましょう!
言葉の力を使う
言葉は思考や感情に影響を与えます。
「嫌だ」「疲れた」と口にすれば気分は下がってしまいますが、「楽しい」「ラッキー」「今日はいいことが起こりそう」などポジティブな言葉を口にすれば気分は上がります。
普段からネガティブな言葉を避け、ポジティブな言葉を口にするクセをつけましょう!
気分が上がる音楽や動画を視聴する
あなたにとって気分が上がる音楽を聞いて気分を上げましょう。
他にもライブ映像や好きな映画、ドラマを見たり、モチベーションが上がる人の話をyoutubeで視聴したりするのもおススメです。
当たり前のありがたさを実感する
僕たちは当たり前に存在しているものに対して、ありがたみを感じずに生きています。
失ってはじめて、ありがたみを感じます。
僕は余命1カ月と宣告されることで、世界の見え方が一変しました。
生きていること自体が奇跡なんだと気付きました。
目に見えるもの全てが愛おしく、ありがたいものに思えるようになりました。
道端の雑草にさえ、感動できるようになりました。
家族や友人をはじめ全ての人との繋がりが、何物にも代えがたい素晴らしいものだと知りました。自分が1カ月後にはこの世から姿を消し、二度と会うことがないと思うと、一緒に過ごす1分1秒がなんて贅沢な時間なんだと感じられました。
入院は約1年にもおよびました。毎朝目を覚ますと、病室のベッドの上にいることに憂鬱な気分になりました。抗がん剤の副作用による吐き気、全身の組織が破壊される痛みに耐え続ける日々に気分は沈みがちでした。クリーンルームというビニールに覆われた空間に隔離され、何の自由も与えられませんでした。
この入院での経験のおかげで、どんなに憂鬱な気分だったとしても、
「家で目覚めただけでも幸せ」
「痛みがないだけでも幸せ」
「吐き気がないだけでも幸せ」
「御飯が食べられるだけでも幸せ」
「散歩できるだけでも幸せ」
「家族と一緒に過ごせるだけでも幸せ」
「仕事ができるだけでも幸せ」
と思えるようになりました。
これこそ究極の憂鬱対策です。
なにも僕と同じような経験をする必要はありません。
大切なのは想像力です。
困難に耐え抜いた人の話を聞いたり読んだりして、「今の自分は幸せだなあ」と思うことで、憂鬱など吹き飛んでしまいます。
僕の場合は、第二次世界大戦中アウシュビッツ強制収容所に収容された精神科医ヴィクトール・E・フランクルの書籍『夜と霧』を読んだり、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で黒田官兵衛が1年間地下牢に幽閉されたのを見て、「ここは天国だなぁ」と思えました。
さいごに
生きている限り憂鬱な気分になるときもあります。
憂鬱な気分に引っ張られてしまえば、その日一日憂鬱に過ごすことになります。
限りある人生、同じ一日であれば楽しく過ごさないともったいないです。
気分は意識的に変えることができます。
今回ご紹介した方法を参考に、あなたなりの気分を上げる方法を作ってください。
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