はじめに
厚生労働省「人口動態調査」によると「転倒・転落・墜落」による死亡者数は、平成29年以降年間8,000人を超えています。
また80 歳以上のの家庭における「転倒・転落・墜落」による死亡者の転倒原因としては、スリップ、つまずき及びよろめきによる同一平面上での転倒が顕著に多いことが分かりました。
さらに転倒は介護が必要になるきっかけとして、認知症、脳卒中に次いで多いものとなっています。
転倒を予防することで、死亡者数や要介護者数を減らすことができます。
今回は転倒を予防するために必要な3要素について解説します。
この記事を読めば、転倒する危険性を減らし、介護予防のみならず命を救うことができるようになります。
登山で気付いたこと
先日八ヶ岳で登山をした際に気付いたことがあります。
登山をされる方はご存じだと思いますが、筋力や体力の消耗が激しいのは登りなのですが、足にかかる負担は下りの方が大きくなります。
八ヶ岳のひとつ天狗岳に登頂後、舗装されていない急な山道を数時間かけて下っていました。
数時間足場の悪い山道を下っていると、徐々に足の踏ん張りがきかなくなってきます。
踏ん張りがきかなくなると、滑ったり転んだりを繰り返すようになります。
自分が滑ったり転んだりするなかで
「あー、転倒する原因ってこれなんだ!」
と気付きました。
転倒する原因は主に3つありました。
それは
- 足握力の低下
- 大腿四頭筋力の低下
- 体幹筋力の低下
です。
それぞれについて詳しく解説します。
①足握力の低下
普段意識していませんが、僕たちは着地した際瞬間的に足握力を使って地面をつかんでいます。
握力というと手だけのものと思いがちですが、実は足にも握力があるんです。
試しに立って足に意識を集中しながら片足を踏み出してみてください。
地面に足をついた直後、足の指先に力が入って地面をギュッと握っているのに気付くでしょう。
これが足握力です。
靴を履いていても、足握力が効くことで踏ん張りが効いてバランスをとっています。
普段は足握力の存在には全く気付きませんが、下山の際は足握力が低下して地面をつかむことができなくなり、バランスを崩すのを実感できます。
実際翌日には、足の指を曲げる筋肉が通る足の裏からふくらはぎにかけて筋肉疲労が存在していました。
医学的にも足握力が転倒予防には重要とされています。
②大腿四頭筋力の低下
着地する際、衝撃を吸収するサスペンションの役割を果たしているのが膝です。
着地と同時に膝を曲げることで衝撃を吸収しバランスととっています。
再度片足をゆっくり踏み出してみてください。無意識に膝を曲げてクッションを働かせ太ももの筋肉(大腿四頭筋)に力を入れているのに気付くでしょう。
試しに膝を曲げずに片足を踏み出してみてください。足の裏や腰に伝わる衝撃が強くなるのに気付くはずです。
膝を柔かく曲げることで衝撃を吸収しながら、膝を支える大腿四頭筋に力を入れてバランスをとっています。
あなたも今まで長距離走などで足に負担をかけた後、いわゆる『膝が笑う』経験をしたことがあるでしょう。膝がカクカクした状態です。
下山しているとだんだん膝が笑ってくるのを自覚します。
これは大腿四頭筋が疲労して膝を支えることができなくなるために起こります。
大腿四頭筋が弱くなると、膝を支えられなくなり転倒する危険性が高まります。
③体幹筋力の低下
着地するときに使うのは足の筋肉ばかりではありません。
体幹筋力も重要です。
体幹筋とは内臓を支えるとともに、運動時のバランスをとるために最初に動かす筋肉です。体幹筋は前体幹筋(腹直筋、腹横筋、腹斜筋、大胸筋など)と後体幹筋(広背筋、脊柱起立筋、僧帽筋など)に分けられます。
体幹筋力をはたらかせて体の軸がブレないようにしています。
体幹筋力がはたらかないと、体の軸が左右前後にブレてしまいバランスを崩してしまいます。
その結果、転倒してしまいます。
日常でできる簡単転倒予防
転倒予防に運動は色々ありますが、最も簡単にかつ転倒予防に必要な筋肉を同時に鍛える方法をご紹介します。
それはゆっくる片足を踏み出して、
- 足の握力を意識して着地しグッと足の指に力を入れて地面をつかみ
- 体重を移動しながら膝をゆっくり曲げて大腿四頭筋に力を入れて片足立ちをして
- 元に戻る
を10回ずつ両足行ってください。
これでしたらエレベーターや電車の待ち時間でも簡単にできます。
簡単にできて、転倒予防に必要な全ての筋肉を同時に鍛えることができるのでおススメです。
足の握力を強化して転倒予防になるグッズもあるのでオススメです。
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