
肩こりは国民病
厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」では、体の不調や通院状況などの健康状態の調査結果が記載されています。
病気やけが等で自覚症状のある人(有訴者)は、人口1000人当たり302.5(この割合を「有訴者率」という)となっております。
男女別に有訴者率を見ると、男性270.8、女性332.1で女性の方が高くなっています。
症状の訴えとしては、男性では「腰痛」が最も高く、次いで「肩こり」「鼻がつまる・鼻汁が出る」となっています。
女性では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」「手足の関節が痛む」となっています。
この調査結果から肩こりは国民病と言っても過言ではありません。
多くの人が悩んでいる肩こりを解決する方法について、専門医の立場からお話したいと思います。
整形外科外来にも毎日多くの肩こりに悩む方がいらっしゃいます。
治療としては
- 消炎鎮痛剤(ロキソニンやカロナールなど)
- 筋緊張緩和剤(リンラキサーやミオナールなど)
- 外用剤(湿布や塗り薬)
- 注射(トリガーポイント)
- 物理療法(電気治療など)
- リハビリテーション
- あん摩指圧マッサージ・鍼灸
などがあります。
しかしこれらの治療は症状を無理やり抑えつけたり、一時的に誤魔化しているに過ぎません。
根本的な解決には肩こりの原因を見つけ出し、改善する必要があります。
肩こりとは
そもそも肩こりとは何なのでしょうか?
たまに肩こりになったことがないという方に出会うことがあります。
そのような方に肩こりを説明するのは苦労します。
肩こりについて日本整形外科学会のホームページでは以下のように説明されています。
症状
首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴うことがあります。
日本整形外科学会H.P.より抜粋
肩こりに関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉がその中心になります。

そもそも『肩』という表現が人によってまちまちです。「肩が痛い」という訴えがある場合、それが肩の関節であったり、頚の後ろや肩甲骨の上、肩甲骨の内側の背中などであったりと部位は様々です。
「肩がこる」といういう場合も同様です。一言に肩がこるといっても範囲が広いため、原因も様々です。
肩こりの原因としては
首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。
日本整形外科学会H.P.より抜粋
さらにミクロな組織レベルで原因を説明すると、上記のような原因により筋肉に負担がかかることで、筋肉自体が傷んだり、筋肉への血流が悪くなることで十分な酸素や栄養が供給されなくなり筋肉が硬くなったり筋疲労が蓄積したりします。
ここにあげられているものは主なものです。他にもさまざまな原因があります。
ご覧いただくと分かると思いますが、日常生活での姿勢や体型に関係するものが多いです。
つまり肩こりを根本的に解決するには姿勢と体型にアプローチすることが重要となります。
肩こり予防法
では具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか?
まずは筋肉の血流を改善するために保温することです。
最近はドラッグストアーやネットショップなどで肩を温めるグッズが売られています。
ぜひお試しください。
日常生活において同じ姿勢をとりつづけないことも大切です。特にパソコンやスマホを長時間見ていると筋肉にかなりの負担をかけてしまいます。最近は『スマホ首』という言葉も作られるくらいスマホによる首への負担や頸椎の変形が問題となっています。
30分に1回は小休憩をとって頚や肩をほぐすように心がけてください。それだけでもかなり予防できます。

さらに寝る時のマクラも重要です。あなたも寝違えたことが一度はあるかと思いますが、寝てる時の状態は体に大きな影響を与えます。
頸椎は横から見ると前側に弯曲しています。この弯曲が保たれない状態が長時間続くと、頸部や背部の筋肉に負担がかかり、肩こりを引き起こしてしまいます。
肩こりにおすすめのマクラ
頸椎の弯曲を整え負担をフリーにするような枕が理想的です。
寝るだけで体を整えてくれるタイプの枕もあります。

良い枕を使うと快眠をもたらしてくれるため、生活の質がグッと上がります。
よく言われるように人生の1/3は布団の中で過ごします。
成功者の多くが枕やマットレスなどの寝具にこだわるのは、いかに重要か気付いているからです。
あなたも肩こりを解消したり生活の質を上げるために、枕にはこだわるようにしましょう!
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