【医師解説】これ知ってたら上級者!健康的な運動量

「健康のために運動しているんだけど健康になっている気がしない」

といった悩みはありませんか。

実は運動は適度に行うことではじめて健康になることができるのです。

なぜなら、運動をし過ぎると有害な物質が生成されてしまうからです。

医学的に健康になるために最適な運動量が示されています。

この記事を読むと、あなたが健康になるために必要な運動量を知ることができます。

僕自身、今回紹介する方法を実践して、風邪をひかなくなり、健康を手に入れたのを実感しています。

今回は運動と健康の関係について解説していきます。

結論からお伝えすると、以下の式で算出される心拍数の運動をすることで健康になれます。

(220 – [自分の年齢] – [安静時心拍数(/分)] )×0.5( 50% ) + [安静時心拍数(/分)]

運動による免疫細胞の変化

運動を行うことで免疫系の細胞が増えることは証明されています。

免疫細胞のなかでも主役である白血球の数は、運動の強度と時間に比例して増加します。

白血球とは血液成分のひとつです。血液から酸素を運ぶ役目をになう赤血球を除いたものが白血球だと思ってください。

白血球は体にとって有害なものを除去する働きをします。

白血球は性質によってさらに細かく分類されています。

主なものに好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球があります。

1時間以内の運動ではリンパ球が急激に増加します。

リンパ球のなかでもNK細胞(ナチュラルキラー細胞)と呼ばれるものが特に増加します。

NK細胞は別名『殺し屋細胞』とも呼ばれ、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を直接攻撃します。

そのため血液検査でリンパ球の数が増えている際はウイルス感染を疑います。

運動によってNK細胞が増えることで、ウイルスに対する抵抗力が増すと同時に、ガン細胞を排除する能力がアップします。

また好中球や単球、好酸球も少し増えることが確認されています。

好中球は細菌を攻撃します。

単球は細菌に加えガン細胞を含めた自分自身の悪い細胞を食べて消化したり、異物が入ってきたことをリンパ球に教えたりする働きがあります。

好酸球は寄生虫を駆除する働きがあります。

1時間を超えるような運動では主に好中球が増えます。

好中球は運動により一度増えたあと減少し、その後さらに増加するという二峰性の増加をします。

まずはじめに運動によってカテコールアミンという神経伝達物質が分泌され、その影響で血流が増え好中球が増加します。その後コルチゾールというホルモンやサイトカインとよばれる物質の影響を受けて、骨髄に貯蓄されていた好中球が動員されます。

サイトカインについては後で詳しく解説します。

しかし激しい運動を行った場合、好中球が脱顆粒と呼ばれる現象を過剰に起こし、体に害を及ぼします。

脱顆粒とは好中球の細胞内に含まれている顆粒を放出する現象です。顆粒には細菌を殺菌するために必要な物質が含まれています。

脱顆粒が起こると、殺菌成分のひとつである活性酸素が増加します。

活性酸素は適量であれば細菌を殺菌するのに有効ですが、増えすぎると自分自身にとっても有害な物質になります。

活性酸素が増えると老化が進みます。その結果、血管が傷んでしまって心筋梗塞や脳梗塞などが起こる可能性が高くなります。

サイトカイン

先ほど少しふれましたが、運動によってサイトカインと呼ばれる物質が増えます。

サイトカインとは、細胞から分泌され他の細胞に何らかの反応を促すタンパク質のことです。

具体的な反応として、免疫を調節したり、細胞を増殖させたり、細胞を変化させたりする働きがあります。

サイトカインのなかでも腫瘍細胞を壊死させるTNF-α(腫瘍壊死因子α)が上昇することが確認されており、ガン細胞を排除する作用が期待できます。

実際に運動による抗ガン作用は多くの研究で報告されています。

大腸ガンを予防するのはほぼ確実だとされているほか、肺ガンや乳ガンなどに対しても予防効果がある可能性が高いとなっています。

運動で体調を崩すケース

激しい運動を行うと、かえって体調を崩すことがあります。

マラソンやトライアスロンなどの競技後、50~70%の選手が風邪症状を起こすとの報告もあります。

これは激しい運動によってNK細胞を中心にリンパ球の数が減るうえに機能が低下し、免疫能力が一時的に低下するためだと考えられています。

また激しい運動を行った結果、筋肉が損傷します。

損傷した筋肉は異物だと判断されます。

異物となった損傷した筋肉を排除しようとして好中球や単球などが筋肉に集まってきます。さらにサイトカインが大量に分泌されます

その結果、筋肉が過剰に破壊され、ひどくなると筋肉を破壊したことで発生する物質によって腎臓などの血管がつまり、腎不全になることがあります。

またサイトカインの過剰分泌は血管を収縮させて血流を悪くします。そのため激しい運動の後は心筋梗塞狭心症虚血性腸炎などが起こりやすくなります。

予防になる運動量

結局のところ運動はした方がいいのか、やめた方がいいのかと迷ってしまうと思うので、結論をお話します。

結論は

適度な運動をする

ということになります。

適度では適当すぎるので具体的な運動量を教えますね。

有酸素運動の強度(最大酸素摂取量の50~60%または無酸素性作業閾値以下)を1日20~60分、週に3回以上を長期間続ける

ことが健康増進に適した運動量です。

最大酸素摂取量とは個人が摂取できる単位時間当たりの酸素摂取量(l/分、あるいは㎖/㎏/分)の最大値です。

分かりにくいのでもっと具体的にに説明します。

「最大酸素摂取量50%の強度の運動」=最高心拍数の55~60%程度になる運動です。

50%強度の運動になる心拍数を出すには

(220 – [自分の年齢] – [安静時心拍数(/分)] )×0.5( 50% ) + [安静時心拍数(/分)]

となります。

例えば18歳で安静時心拍数が60拍/分の場合、(220-18-60)×0.5+60=131拍/分になります。

無酸素性作業閾値とは、運動の強さを増していくとき筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、血液中の乳酸が急激に増加し始める強度の値です。

無酸素性作業閾値以下とは、簡単に言えば筋肉がパンパンに張ってこない程度の運動ということです。

以上を目安に運動習慣を取り入れることで健康を自分自身で創ることができます。