言霊の力

はじめに

日本に古来より言霊(ことだま)という考えであります。言霊を簡単に説明すると、言葉には強いエネルギーが宿っているという思想です。言葉には精霊が宿ると考えられ、言葉の波動が伝わることで森羅万象に影響するという考えです。

言霊は神主が祈祷の時に読み上げる祝詞のようにプラスに使われることもあれば、呪術のようにマイナスに使われることもあります。

私自身、言霊のマイナスな力に苦しめられた経験があります。末期の悪性腫瘍から生還しようと思ったものの、医師から発せられた「余命1ヶ月、手の施しようがない」という言葉の呪縛に縛られていました。

今回は言霊についてお話します。

言霊の科学的説明

最近では科学的に言霊の存在が証明されつつあります。

この世界に存在する全ての物質は原子からできており、原子は陽子、電子、クォークなどの素粒子からできております。

素粒子は物質ではなくエネルギーと情報の波動であると考えられております。言い換えれば波動によって様々な物質が創られています。

ですから言葉の持つ波動が森羅万象に影響を与えるという考えは科学的にも理にかなっています。

言葉を創り出す人間の思考や言葉は波動をもち、この波動は宇宙に存在する全てのものと影響しあっている可能性は十分あり得ます。

言霊の歴史

江戸時代の言霊学者である山口志道は、人の体は小宇宙であり、天地も人も同じ源から創られているので、人の言語によって天地を動かすことができると述べています。山口は人の口から発する言葉を、万物を創造する源と同様にとらえていました。

また大本教で聖師と呼ばれている出口王任三郎も、人間は宇宙の縮図であり天地の移写であると教えていました。人体が五大父音(アオウエイ)と九大母音(カサタナハマヤラワガザダバパ)を発して生理作用を営むように、宇宙にも天地父母の十四大音声が鳴り響いており、言霊の力により森羅万象の活動や造化が行われていると説明していました。

人間の発声する音響は宇宙の神音霊声と同一で森羅万象の活動や造化を行えると考えていたようです。

日本では言霊の力を国が認めていました。

初期仏教において、治療と護身目的に限り呪文を使用することが国から許されていました。

律令制度において、呪文と祈祷により病気治療をする呪禁師(じゅごんし)が医療的な担当をになっており、宮内省典薬寮に呪禁師二人と呪禁博士一人が置かれていました。

日本に古来から伝わる古神道、陰陽道、修験道、真言密教などでも呪文や祈祷を用いております。

天皇家が執り行う行事には古神道や陰陽道の影響を受けているものが数多く存在しています。天皇陛下こそ最強の陰陽師であると主張する人がいるほどです。

言霊と医学

近代医学が生まれたのはわずか100年ほど前で、それまでは言葉の力を医療に利用していました。

古神道に伝えられているものをひとつご紹介します。

神伝撫手禁厭法(しんでんぶしゅいんえんほう)と呼ばれるもので、少彦名神が残した神代伝流医法のひとつです。心を落ち着かせた状態で「がいとう。ぼうこう。がま」という神呪を心の中で繰り返し唱えながら病気を患っている方の患部を撫でます。実際にこの方法で医師に治療困難と言われたにも関わらず治癒した例が少なからず存在しています。

現在でも地域によってはシャーマンによる呪文や祈祷が医療として行われております。

言葉のもつ力は日本に限らずさまざまな国で信じられております。

近代医学でもアメリカの心臓専門医が、祈りにより心筋梗塞の予後合併症の軽減を認めたとの研究結果が出ています。

身近な言霊の例

また日常でも「縁起でもないことを口にするな」など無意識に言霊の力を気にして生活しています。

具合の悪いとき、「絶好調」と口に出せば元気になりますが、「調子わるい」といえば不調になります。

このような例からも言葉には力が宿っているのが何となく理解できるかと思います。

言霊の使い方

言葉の力は誰にでも利用することができます。

まず日頃から極力ネガティブな発現はしないよう意識しましょう。

逆にポジティブになるような言葉を発するよう常に心がけましょう。思ってはいなくてもポジティブな言葉を口にしていると、潜在意識に浸透します。するとポジティブなことを無意識に見つけるようになります。そればかりか言葉が現実になったりします。

古来より多くの宗教家や偉人たちは 言葉の持つ力を知っており利用してきました。

聖書にも「はじめに言葉ありき」と書かれております。

僕は余命宣告されたあと、 「だいじょうぶ、だいじょうぶ」 と繰り返し口にしていました。はじめは周りを安心させるために言っていたのですが、そのうち本当に大丈夫な気がしてきました。ついには余命1カ月から生還してしまいました。

言葉による呪縛を解くには言葉の力を用います。

自分自身でポジティブな発言をするのも効果的ですが、人からかけられる言葉にはより強い力が宿っています。

僕は余命宣告をされたあと、知り合いのアメリカ人医師から「絶対大丈夫、治療する手段は必ずある」 と言ってもらえたことで希望が生まれ、言霊によるマイナスな力から解放されたのを感じました。

さいごに

言霊はオカルト的な印象をもたれがちで、受け入れ難い考えだと思います。

今回は科学的な解釈や歴史、実体験を織り交ぜながら、受け入れやすく解説させてもらいました。

信じるか信じないかはあなた次第ですが、信じたからといって何も損はないので、ぜひ日常から言霊を意識して言葉を発するようにしてください。