帯状疱疹【医師解説】

はじめに

帯状疱疹とは、子供の時水痘(水ぼうそう)にかかったあと神経に住み着いていた水痘帯状疱疹ウイルスが、免疫力が低下したときに暴れ出し発症するものです。

免疫能力が低下しているご高齢者や抗ガン剤治療中の方、免疫を抑える免疫抑制剤を使用している方、疲れやストレスが蓄積ている方に出現しやすいです。

20%ほどの人が生涯で一度はなる可能性があり、初期に適切な治療を行わないと後遺症として耐えがたい痛みが残ることが多いので、知識としてしっておくべきものです。

この記事を読めば、帯状疱疹になった際、早期に気付き治療を受けられるようになります。

症状

皮ふに米粒ぐらいの赤みを帯びた水ぶくれが、神経に沿って帯状に出現します。そのため帯状疱疹と呼ばれます。

帯状疱疹とは何ですか?
Elite care Emergency Hospital H.P.より引用

通常左右どちらかに出現することが多いです。

場所としては胸や背部に最も多く(約30%)、次いで腰やお尻(約17%)、頭や顔面(約17%)に認めます。

あとから分かることですが、皮ふに湿疹が出る1週間ほど前に痛みやかゆみ、違和感があります。

腰痛や肋骨が痛いと感じるため、初めは整形外科を受診することも多いです。

また皮ふ症状以外にも、熱や体のだるさといった風邪のような症状も出現することがあります。

通常は3週間ほどでカサブタになって治っていきますが、初期の段階で抗ウイルス薬を投与しないと痛みが残ってしまいます。

治療後1カ月しても痛みが残る人は約40%、6カ月を超えても痛みが続く人は約10%います。

またごくまれですが、運動マヒが起こることもあります。部位としては顔の表情をつくる筋肉や腕を横に上げる三角筋、膝を伸ばす大腿四頭筋などです。

さらに怖いのが、脳や脊髄と言った中枢神経の炎症です。半身マヒや手足のマヒ、意識障害、呼吸困難などが起こる可能性があります。

治療

帯状疱疹と診断したらすぐに抗ウイルス薬を開始します。

軽度であれば内服薬、中等度以上であれば点滴薬を投与します。

痛みを残さないためには、痛み止めを内服して痛みを取り除くことも大切です。

痛みが強い場合は局所麻酔薬によるブロック注射を行います。

予防

免疫力を低下させないために、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。日ごろからストレスを溜めないことも重要です。

50歳以上の人はワクチンを用いて予防できます。ただしワクチンによって完全に予防できるわけではないので、気になる方は医師に相談しましょう。

さいごに

繰り返しになりますが、初期にちゃんと治療を行わないと痛みやマヒなどの後遺症を残す可能性があります。

帯状に広がる赤みを帯びた水ぶくれと痛みを認めたら、できるだけ早く皮膚科を受診するようにしましょう。