膝の内側が痛い7つの原因【専門医解説】

膝の内側が痛い!

膝の内側が痛い原因を知りたい!

とお悩みではありませんか?

実は膝の内側が痛くなる主な原因は7つあります。

医学的データを集積・解析した結果、膝の内側が傷む原因が明らかになっています。

今回紹介する内容は、僕が20年間整形外科医として診てきた経験と照らし合わせても間違いありません。

この記事では膝の内側が痛む原因を紹介します。

この記事を読めば膝の内側が痛む原因を知ることができます。

結論からお話すると、膝の内側が痛くなる7大原因は

  1. 変形性膝関節症へんけいせいひざかんせつしょう
  2. 半月板損傷はんげつばんそんしょう
  3. 膝蓋骨しつがいこつ周囲の炎症(タナ障害、膝蓋腱炎しつがいけんえん膝蓋下脂肪体炎しつがいかしぼうたいえん
  4. 鵞足炎がそうえん
  5. 内側側副靭帯損傷そくふくじんたいそんしょう
  6. 疲労骨折
  7. 骨腫瘍こつしゅよう

です。

膝の内側を構成しているもの

まずはじめに、膝の内側を構成する主なものについて説明します。

膝の内側を構成する主なものは以下の通りです。

  • 大腿骨だいたいこつ、脛骨けいこつ、膝蓋骨しつがいこつ
  • 軟骨なんこつ
  • 内側ないそく半月板はんげつばん
  • 靭帯(内側側副靭帯そくふくじんたい後斜靭帯こうしゃじんたい
  • 筋肉(鵞足がそく半膜様筋はんまくようきん腓腹筋内側頭ひふくきんないそくとう
  • 内側膝蓋支帯しつがいしたい

構成しているものが傷つくと痛みが出ます。

膝の内側が痛くなる7大原因について詳しく説明します。

①変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、膝の軟骨や半月板、靭帯(じんたい)などがすり減って、痛みや腫れ、膝関節の動かしにくさ、変形などが起こる疾患です。

原因としては、長年体重を支え続けることによる老化現象として起こる場合と、ケガや関節炎などの後遺症で起こる場合があります。

日本国内で自覚症状がある人だけで1000万人、自覚症状がない(レントゲン画像上の変化のみ)人も合わせると3000万人もの人が変形性膝関節症だといわれます。

赤ちゃんや子供も含めた全国民の4人に1人は変形性膝関節症を患っていることになります。

ご高齢者に絞れば2人に1人は変形性膝関節症であると考えられます。

多くの人が膝の痛みによってあまり歩かなくなり、筋力が徐々に低下し、歩行困難となっていきます。

日本人の多くがO脚のため、膝関節の内側が狭くなり、内側に痛みが出やすいです。

②半月板損傷

半月板とは、大腿骨と脛骨の間にある弾力性のあるクッション材です。

上から見ると半月のような形をしているため、半月板といいます。

半月板は内側と外側にあります。

内側の半月板が傷つくと、膝関節の内側に痛みが出ます。

半月板はクッション材としての役割以外にも、膝にかかる負担を分散したり、動きを滑らかにしたり、膝関節を固定させる役割があります。

半月板はスポーツで傷がついてしまうことが多いです。

そのため10代後半から20代前半に多く見られます。

また老化現象として半月板が傷んでくることも多いです。

変形性膝関節症の多くは半月板損傷も起こしています。

半月板損傷について詳しくはこちら↓

③膝蓋骨周囲の炎症

タナ障害

胎児のときに存在していて、本来であれば成長とともになくなるはずのものが残ってしまうことがあります。

膝関節の中にある滑膜かつまくヒダも本来であれば成長とともになくなるはずですが、残ってしまうことがあります。

特に膝蓋骨の内側の滑膜ヒダが残りやすく、棚のような形をしているためタナと呼びます。

タナは日本人の50~60%に存在しています。

タナが膝蓋骨と大腿骨の間に挟まって悪さをすることがあります。

このような状態をタナ障害といいます。

タナ障害の症状として、膝蓋骨の内側に痛みやひっかかりがあります。コリっと音がすることもあります。

症状が強い場合は関節鏡で覗きながら切除します。

膝蓋腱炎しつがいけんえん

膝を伸ばす際に収縮する太もも前面の大腿四頭筋は、膝蓋骨の前側で一本の腱になります。

この腱を膝蓋腱といいます。

膝を伸ばす運動を過剰に行うと、膝蓋腱に炎症が起こります。

膝蓋腱に炎症が起こった状態を膝蓋腱炎といいます。

膝蓋腱炎になると、膝蓋腱の周りに痛みや腫れが起こります。

成長期に膝蓋腱に負担がかかると、膝蓋腱がくっついている脛骨の前側がふくらんで痛みを生じます。これをオスグッド病と呼びます。

膝蓋下脂肪体炎

膝蓋腱の内側には脂肪の塊があります。

この脂肪の塊を膝蓋下脂肪体といいます。

膝蓋下脂肪体は、膝を伸ばした状態で着地する際のクッション材の役割をしています。

スポーツなどで膝を使い過ぎたり、ケガをすることがきっかけで炎症を起こします。

膝蓋下脂肪体炎症を起こして痛みや腫れを起こした状態を、膝蓋下脂肪体炎といいます。

④鵞足炎

縫工筋ほうこうきん薄筋はっきん半膜様筋腱はんまくようきんけんが脛骨に付着している部分は、鵞鳥(がちょう)の水カキのような形をしているので鵞足(がそく)と呼びます。

鵞足の部分には、膝を曲げたり足先を内側に回す際に負担がかかります。

スポーツなどで鵞足に負担がかかり過ぎると、鵞足に炎症が起こり痛みを訴えたり腫れたりするようになります。

このような状態を鵞足炎といいます。

鵞足を構成している3つの筋肉は、太ももの後内側につながっています。

症状を軽減したり予防するには、太ももの裏のストレッチが有効です。

⑤内側側副靭帯損傷

膝が内側に入った状態で無理な負荷がかかったり、足先が外を向く方向に大きな力が加わると、内側の側副靭帯が傷ついてしまいます。

その結果、内側側副靭帯に沿って痛みが出たり、膝の曲げ伸ばしがしにくくなったり、膝がグラグラしたりします。

このような状態を内側側副靭帯損傷といいます。

軽い損傷であれば、安静と包帯やサポーターによる圧迫のみで1~3週間経過すればスポーツ復帰できます。

損傷が強い場合は、支柱の入った装具を使用し、4~6週間経過したらジョギングを開始します。

前十字靭帯損傷を合併している場合は手術が必要になる可能性があります。

⑥疲労骨折

スポーツなどで過剰な負担がかかり過ぎると、骨に損傷が加わり骨折してしまうことがあります。

このような骨折を疲労骨折といいます。

疲労骨折は様々な部位でできますが、脛骨の膝関節近くに生じることもあります。

その際、膝の内側を痛がる場合があります。

疲労骨折は初期ではレントゲンに映りません。

そのため気付かれないケースもあります。

CTなどの精密検査をしないと分からないことが多いです。

日本整形外科学会H.P.より転用 
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/stress_fracture.html

基本的にはスポーツを中断して1カ月ほど安静にしていれば自然に治ります。

脛骨の下の方で疲労骨折を起こすと治りにくいため、手術を行う場合もあります。

⑦骨腫瘍

骨肉腫という骨のガンは、膝関節の周りにできやすいです。

骨肉腫は10代に起こりやすいという特徴があります。

若い年代の膝痛は注意が必要です。

10代では成長痛も膝関節の周りに出やすいので、見分けることが重要です。

レントゲンで異常を発見することができます。

治療としては手術による切除と抗ガン剤治療を行います。

まとめ:膝の負担を減らすにはサポーターがオススメ

サポーターを使用することで、膝の負担を減らすことができます。

膝の負担が減れば、痛みを減らすことができます。

おすすめの膝サポーターをまとめた記事があるので、ご参照ください。

膝の痛む場所から原因を知りたい方はこちらをご参照ください。