【医師解説】プラセンタの正体

プラセンタとは

プラセンタはの語源は英語で胎盤を意味するPlacent です。

胎盤とは、子宮に受精卵が着床し妊娠が成立した後、胎児と母親をつなぐ役割をする臓器です。

胎児はへその緒を介して母体から栄養を受け取るということはご存じだと思います。

へその緒と母親の子宮の間に存在するスポンジ状の臓器が胎盤です。

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胎盤は妊娠の間のみ存在する臓器で、出産の際、赤ちゃんと一緒に体外に排出されます。

野生の哺乳動物は出産後本能的に胎盤を食べる行動をとります。

このことから古来より、胎盤には生命を育むうえで重要なものが含まれていると考えられたいました。

古くは紀元前のヒポクラテスの時代から医学に用いられており、唐時代の漢方医学書には不老不死の妙薬として記載されています。また明代にも「紫河車」という名で滋養強壮、若返り薬として紹介されています。

近代医学においてプラセンタの有効性は確認されており、治療用の注射薬として承認されています。

保険適応の治療用プラセンタ

治療用として承認されているのが「ラエンネック」と「メルスモン」の2種類の注射薬です。

当然胎盤そのものを注射薬にしているわけではありません。

人間の胎盤から有効成分を抽出したものを水に溶かして注射薬としています。

ラエンネックは慢性的な肝臓病の人の肝機能を改善する治療薬として承認されています。

通常は成人に対して1日1回2mLを皮下又は筋肉内に注射します。症状が強い場合は1日2〜3回注射することができます。

メルスモンは更年期障害と乳汁分泌不全で保険適用となっております。

通常、1日1回2mLを毎日または隔日に皮下注射します。

ラエンネック、メルスモンともに人から抽出したものから作られているため、輸血に準じた注意が必要です。つまり胎盤を提供してくれた方が肝炎ウイルスやHIVなどに感染していた場合、注射を使用することでウイルス感染してしまう可能性があります。

そのため事前に提供者1人1人について既往歴、渡航歴などの問診を行い、血液検査等によってウィルス・細菌の感染症等になっていないかを厳しくチェックしています。

意外にもラエンネック、メルスモン共に歴史は古く、50年以上も前から存在しています。しかしながら長年マイナーな薬としてその存在は忘れられていました。
ところが近年、プラセンタ抽出成分のもつ自然治癒力の増進エイジングケアを目的に、美容業界から脚光を浴びるようになりました。

美容目的の場合は保険適応外となるため自費での治療となりますが、女性を中心にとても人気となっています。

プラセンタの効果

プラセンタ抽出成分には以下のようなアンチエイジング効果が期待されます。

シワ・たるみ予防

真皮層のコラーゲンエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促し、皮膚の弾力を保ち、シワやたるみを防ぐ作用があります。

シミ

肌の新陳代謝を促進するため、メラニン色素が排出されやすくなり、シミが薄くなります

脱毛予防

脱毛の原因のひとつである男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の効果を抑制するので、脱毛を予防します。特に男性型脱毛症AGAに対して効果が期待できます。

他にも

女性ホルモンによる効果として更年期障害、月経痛などの症状改善

新陳代謝亢進による効果として疲労回復、冷え性改善、風邪予防、病後の回復効果

など様々な効果が期待できます。

人間の胎盤から抽出した成分を用いたものは医療機関でのみ扱える薬となっています。

ラエンネックは内服薬も作られており自費の美容クリニックなどで処方してもらうことができます。

健康美容用の各種プラセンタ

最近は人間以外の胎盤を利用した健康食品や美容関連商品が多く販売され、気軽に試せるようになっています。
主なものに豚プラセンタ、馬プラセンタ、羊プラセンタ、海洋プラセンタ、植物プラセンタがあります。

豚プラセンタ

豚の胎盤から抽出した成分を利用しています。豚は一度に10頭前後出産するうえに年2回出産できるため、胎盤を効率的に入手できます。そのため最も多く利用されているのが豚プラセンタです。豚は実は人間と相性がよく、心臓の弁置換にも豚の心臓弁が使われたりします。

しかしながら飼育段階で大量の抗生物質を与えられていたりすれば、胎盤にも有害なものが含まれている可能性があります。

厳格な審査を通ったSPF豚の胎盤を用いた豚プラセンタでしたら安心です。

馬プラセンタ

豚プラセンタに比べてアミノ酸配合量が多く、効果が得られやすいとされています。ただし豚のように多産できないためあまり多く入手できず高価となっています。

サラブレッドの胎盤を用いるため、豚のように劣悪な環境で飼育されていることが少ないので、安全な品質となっています。

羊プラセンタ

日本ではあまり見かけませんが、欧米ではメジャーなのが羊プラセンタです。羊は病気になりにくく、安全性が高いとされています。

海洋プラセンタ

魚類の卵を包んでいる卵巣膜から抽出したものを海洋プラセンタと呼んでいますが、魚に胎盤はないため厳密にはプラセンタではありません。卵が成長するのに必要なアミノ酸やコラーゲンを豊富に含んでいるため、健康美容効果は期待できます。

植物プラセンタ

植物には当然胎盤は存在しないめ、海洋プラセンタ同様、プラセンタではありません。

種の周りのぐじゅぐじゅした部分を胎座と呼びます。胎座は種が成長するのに必要なアミノ酸、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。そのため胎盤ではありませんが健康美容効果は期待できます。

人間由来のプラセンタを利用するのはハードルが高いと感じるのであれば、豚や馬由来のものを検討するのが良いでしょう。特に馬由来のものは豚由来のものに比べてアミノ酸が含有されておりオススメです。こちらの商品は国産の馬プラセンタを使用していて安心です。

胎盤由来ではないもので効果が期待できるものとして、海洋プラセンタ、植物プラセンタも選択肢としてありです。

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