側弯とは
年齢を重ねるにつれ、誰しも背中が曲がってきます。
しかし背中が曲がるのは年齢のせいだけではありません。
若い人や赤ちゃんでも背中が曲がっていることがあります。
背中が曲がっていると肩こりや腰痛、頭痛の原因になるばかりではなく、呼吸機能の低下や学習能力低下につながったり、姿勢が悪く見た目で損をしたりします。
理由によらず背中が曲がっている状態を医学的には側弯といいます。
今回は側弯について解説します。
側弯の見つけ方
家族などに見てもらって以下のような所見があれば、側弯の可能性があります。
- まっすぐ立った姿勢で背中を見ると、背骨が歪んでいる
- 猫背である
- まっすぐ立った姿勢を正面から見てもらい、肩の高さが左右で違う
- お辞儀をした際、肩甲骨の高さが左右で違う
側弯と診断するには専門医のチェックが必要ですが、ここで挙げたものが一つでも当てはまれば側弯の可能性があります。
側弯症の種類
側弯症は原因によって分類されています。
先天性側弯
お母さんのお腹の中にいる段階で奇形が生じることで側弯になるものです。側弯が強い場合は生まれつき下半身に麻痺を認めることもあります。背骨の皮膚がへこんでいたり、体毛が濃かったり、足の指が変形したりする場合に疑われます。
心臓や腎臓などの奇形が一緒に現れることが多いです。
進行する可能性があれば側弯用の装具を使用します。
側弯が強いと肺の成長を障害することがあるため手術を行うこともあります
特発性側弯
側弯のうち最も多いタイプです。特発性と付く病名は色々ありますが、ようは「原因不明」ということです。調べると家系が側弯になりやすい場合が多いため、遺伝的な要因があるものと思われます。
学校健診の項目にも側弯のチェックが含まれており、子供の3%ほどに見られます。
男性よりも女性に多く見られるのも特徴です。
側弯が強い場合は専用の装具を作っがり、側弯を改善する運動を行ったりして治療します。
さらに強い側弯の場合は手術が必要となることもあります。
姿勢性側弯
普段生活するクセによって背中が曲がっているものです。骨格に異常があるわけではないので、日ごろから姿勢を正しくするよう心掛けることで改善することができます。
変性側弯
中高年の20~30%ほどが変性側弯になっています。長年体を支え続けた結果、背骨と背骨の間のクッション材である椎間板が崩れてくることなどが原因で起こります。
ある程度進行すれば外見で分かります。レントゲンを撮影してたまため見つかることも多いです。
腰背部の痛みやだるさなどの症状を認めます。
基本的には症状を緩和させる消炎鎮痛剤(ロキソニンやカロナールなど)や筋緊張緩和剤(ミオナール、リンラキサー)の処方や外用剤(湿布、塗り薬)、リハビリ、マッサージなどを行います。
ヒステリー性側弯
心に深い傷を負ったことが原因で起こるものです。心の問題が体に影響を及ぼすことは珍しくありません。ストレスを感じるとお腹が痛くなってり、下痢をしたり、毛が抜けたり、失語症になったり腰痛になったりすることは良く知られていますし、医学的にも解明されています。
それらと同様に側弯という形で表出するのがヒステリー性側弯です。
かなり強い側弯になることもあります。
あおむけに寝ると側弯が消失するのが特徴です。
根本的な治療は心の問題を解決することになります。
炎症性側弯
背骨の周りに細菌が感染することでおこるものです。腎臓の周りや盲腸などに細菌感染が起こると起こりやすです。
椎間板ヘルニアに伴う側弯
椎間板という背骨と背骨の間にあるクッション材が飛び出して神経に触わると神経痛が出現します。少しでも痛みが出ない姿勢をとろうとすることで側弯が起こります。
腫瘍に伴う側弯
背骨にできる類骨骨種などの腫瘍は痛みを伴うため、痛みを避けるように側弯を生じます。
そのほかの病気に付随する側弯
【神経線維腫症(レックリングハウゼン病)】
皮膚の下などのに軟らかく肥厚した神経組織(神経線維腫)が増殖し、カフェオレ色の斑点が皮膚にできる病気です
神経系(脳、脊髄、末梢神経)と皮膚が侵される神経皮膚症候群という遺伝性の病気のひとつです。
神経線維腫が背骨に影響を与えると側弯を起こします。
【マルファン症候群】
マルファン症候群は、眼、骨、心臓、血管、肺、中枢神経系などに異常が生じる遺伝子の突然変異で起こる病気です。
体の様々な器官を支える結合組織に異常を生じます。そのため大動脈解離や心臓の弁異常などに加えて側弯を生じます。
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