【医師解説】包茎手術前に知っておくべきこと

はじめに

医学的に包茎手術が必要になるケースは、体に害があるような場合に限られます。

医学的に手術が必要のは、オシッコが上手に出せなかったり、バイ菌による感染を繰り返してしまったり、オチンチンが締め付けられてしまうような場合です。

医学的に手術が必要と判断されたら、保険診療を行っている一般的な医療機関で、健康保険を使って治療をしてもらえます。

健康保険で手術してもらえるのは、包茎のうち真性包茎嵌頓(かんとん)包茎です。

真性包茎や嵌頓包茎のため病気になる可能性があると判断されたら健康保険が適用されます。

健康保険が適用されれば、自己負担額は1万円から3万円程度ですみます。

保険会社の医療保険に加入していて条件を満たせば、保険金の支払いで費用はカバーされます。

健康や生活に支障が出ていると感じる場合は、まずは健康保険を扱っている泌尿器科受診を検討してみましょう。

いっぽう仮性包茎の場合は、清潔に保ってさえいれば病気になる可能性は少なく生活に支障をきたすとはないとみなされるので、健康保険は適用されません

仮性包茎に対する手術は見た目をよくするための美容目的の治療と判断されるため、自費専門の美容形成外科クリニックなどで自費治療を受けることになります。

しかし自費専門の美容形成外科クリニックでの包茎手術では、様々なトラブルが報告されているため、事前にリスクを知っておくことが大切です。

今回は報告されている主なトラブルについて解説します。

包茎手術のトラブル

段落

美容医療サービスはもともと女性が受けるものでした。

しかし最近は男性も美意識が高まり、男性でも美容医療サービスを受ける方が増えています。

美容医療サービスに関して国民生活センターに寄せられた相談は、過去5年度分で相談件数2,131件あり、そのうち包茎手術に関する相談が1,092件と半数以上を占めていました(2016年5月27日までの登録分)。

体に関する相談としては、手術後の痛みがひどい、機能障害などの後遺症が生じたという相談などがあります。

さらに詳しく見てみましょう。

年代別にみると20歳代が特に多く、包茎手術に関する相談1,092件のうち646件と全体の約6割を占めていました。

危害については、痛み、腫れなどが最も多くみられました。

他に

  • 手術部分が裂けた
  • 出血が続く
  • 大量に出血した
  • 組織の壊死(えし)
  • 勃起障害
  • 射精障害
  • 排尿障害

などが報告されています。

もちろん手術なのでリスクはありますし、合併症や後遺症を生じる可能性はあります。

国民生活センターに相談があったということは、おそらく手術前のインフォームドコンセント(※1)が不十分であったり、術後に合併症や後遺症が生じた際の対応に問題があったんだと思います。

(※1)インフォームドコンセント手術などに際して、医師があらかじめ病状や治療方針、今後の見通しなどを説明し、患者の同意を得ること。

精選版 日本国語大辞典より引用

金銭面での相談も多く寄せられています。

病院に行く際に心づもりしていた費用額は、多くの人が5万円~10万円でしたが、実際の金額は50万円超~100万円以下が最多でした。

またその日のうちに手術するよう強く迫られたケースや、必要ではない手術を受けたケースなどもあります。

実際にあった事例としては以下のような報告がありました。

『包茎手術が広告では7万円でできるとなっていたが、診察の際に不安をあおられて色々オプションを付加され、結果的に約100万円を超える手術費が掛かってしまった』

トラブルに巻き込まれないために、事前にトラブルの傾向と対策を知っておきましょう。

トラブルの傾向

  • 不安な気持ちに付け込んで契約を急がされたり、即日施術を勧められたりする
  • 広告とは異なる高額な施術や追加の施術、追加でサプリメントや薬などを勧められる
  • 契約や施術に関する説明が不十分である
  • 医師の資格を持たない人が診断や治療方針の決定を行っている

対策

  • 広告の内容を信用せず、書き込みや公的機関の注意喚起情報を確認しましょう
  • 施術内容や料金、リスク等について納得のいくまで十分に説明を受けましょう。納得できない場合や即日施術を強要されたらすぐ帰ると決心して受診しましょう。
  • トラブルになった場合には、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう
  • *消費者ホットライン「188(いやや!)」番
    最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

僕自身仮性包茎なので、悩みは理解できます。

仮性包茎は医学的には病気ではなく日常生活に支障がないと判断されます。

しかし本当にそうでしょうか。仮性包茎は早漏の原因になったり、女性に対して消極的になってしまう原因になったりします。それは恋愛や結婚にも影響する大きな問題だと僕は思います。

今回包茎手術のトラブルについて解説したのは、包茎手術に反対するためではありません。手術することで性や恋愛の悩みが解決するのであれば受けるべきだと思います。

しかしそこでトラブルに巻き込まれてしまって、思うような結果を得られなければ元も子もありません。

そうならないために、あらかじめどのようなリスクがあるのか知識を得て、正しい選択をすることが重要です。

今回の解説を参考に、信用できるクリニックでまずは相談してみましょう!

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