足の親指が痛い強剛母趾【専門医解説】

はじめに

二足歩行である人間は、他の四足歩行の動物に比べ足にかかる負担が大きいです。

そのため足に痛みが出ると歩行が困難になります。

今回は歩行時に負担がかかる足の親指(=母趾)の付け根に痛みが出る病気について解説します。

この記事を読めば、母趾に痛みを感じた際何が原因でどのように対処すればいいのか分かるようになります。

結論からお話すると、母趾の付け根に痛みが出る主な病気は強剛母趾です。

強剛母趾とは

強剛母趾とは、母趾の付け根にあたるMTP関節(metatarsophalangeal関節==中足趾節)に長年負担がかかった結果、軟骨が擦り減って起こる病気です。

足部の関節症では最も多い病気となっています。

母趾のつま先を上げる動きを行うと痛みが出ます。

そのため歩行時に体重をかけた際に地面を踏み込む時などに痛みが出やすいです。

徐々に進行しつま先を上げる動きが固くなり、その名のとおり「強剛」になります

MTP関節をケガしたことがあったり、歩行バランスが悪かったり、先の狭い靴を履いていていたりすると起こりやすいです。また偏平足や外反母趾など足の形も影響します。

同じ部位が痛くなる病気として、外反母趾痛風があります。
(外反母趾は強剛母趾と併発していることも多いです)

見分け方をお教えします。

MTP関節を上から見て『くの字』(左足であれば『逆くの字』)になっていれば外反母趾が疑われます。

痛風の場合は採血で尿酸値が高くMTP関節が赤く熱をもち安静にしていても痛みがあります。

どのようなことが起こっているのか

強剛母趾は進行するとつま先を上げにくくなるのは、関節のヘリに骨のトゲ(骨棘)ができるためです。骨棘は長年軟骨に負担がかかると出てきます。

足の甲の母趾側の骨(第1中足骨)が持ち上がっていると、強剛母趾になりやすい傾向にあります。

また軟骨がすり減って欠損しています。軟骨は関節がスムーズに動くためにツルツルであることが理想です。欠損してしまうと動きが固くなってしまいます
さらに関節以外の軟部組織(長母趾屈筋腱、足底腱膜、アキレス腱等)も影響していると考えられています。

このように様々なことが影響して強剛母趾が起こっています。

治療

治療はまず薬物療法物理療法装具療法などが行われます。

薬物療法は消炎鎮痛剤の内服薬や外用薬(湿布、塗り薬)を使用します。

物理療法としては温熱療法などが行われます。

装具療法として、母趾のつま先が上がるのを抑制するような足底板や靴底の加工が行われます。

運動や日常生活動作の中で活動制限が大きくなった場合には手術を検討します。
手術は骨棘の切除を行うのが最も一般的に用いられております。

その他に骨を切って角度を調整する骨切り術や関節を作り直す関節形成術、インプラントを挿入する手術、関節を固定する手術などがあります。

これらのうち関節固定術のみがエビデンスGrade B (勧められるだけの根拠がある)で、その他はほとんど Grade C (勧められる根拠が明確でない)にとどまっています。

まとめ

  • 足の関節の病気で最も多いのが強剛母趾です。
  • 母趾のつま先を上げることが難しくなり、歩行の際踏み込むと母趾の付け根に痛みが出やすくなります。
  • まずは薬や物理療法、装具療法などで経過をみます。
  • 症状が進んで生活に支障が出れば手術を検討します。

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