【専門医解説】側弯による姿勢の悪影響

側弯による姿勢の悪影響7つ

背骨が歪む病気を側弯といいます。

側弯は様々な悪影響を体に及ぼします

今回は側弯が体に及ぼう悪影響について解説していきます。

結論からお話すると、側弯による悪影響は大きく分けて

  1. 体の構造に伴う問題
  2. 心理的負担
  3. 痛み
  4. 神経症状
  5. 内臓への負担
  6. 脳力低下
  7. 運動能力低下

の7つがあります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①体の構造に伴う問題

側弯は程度が軽ければ問題はないのですが、ある程度になると姿勢が悪くなります。姿勢が悪いだけでだらしない印象をもたれてしまったり、態度が悪いと思われてしまったりします。

また片側の肩が下がったり、ウエストラインに左右差が出たりするので、洋服をうまく着こなせないといった問題があります。

このようなことは些細なことのように思えますが、本人にとっては大きな問題です。

それが原因で学校や職場での評価に影響が出たり、人間関係に支障が出たりします。おおげさに言えば人生を左右することもあります

②心理的負担

外見上分かるほどの側弯であれば、服を着ていても周りから背骨の歪みが分かってしまいます。子供のころはそのことが原因で友達から冷やかされたりいじめられたりする可能性があります。

冷やかしやいじめにあわなかったとしても、自分自身が気にしてしまえば消極的になってしまい、友達を作れなかったり恋人を作れなかったりする可能性があります。

服を脱ぐ場面では、側弯はより目立つようになります。服を脱がなければならない水泳や海水浴、温泉などが苦痛になってしまいます。

もちろん気にしない人や成長とともに受け入れることができる人もいますが、大半の人はコンプレックスを抱えて生きていくことになります。

③痛み

側弯があると、背骨を支える筋肉に偏った負担がかかるため、肩こりや首の痛み、腰痛、背部痛が出やすくなります。無理な姿勢で作業を長時間行った状況を想像してみてください。側弯があると常にこのような状態でいることになります。

年齢を重ねるにつれ、筋肉だけでなく、首の骨(頸椎)や背骨(胸椎)、腰の骨(腰椎)に変形が生じたり、骨と骨をつなぐ関節(椎間関節)の軟骨がすり減ったり、骨と骨の間にあるクッション材(椎間板)が傷んできたりします。

骨の変形したり関節軟骨のすり減ったり、椎間板が傷んだりすると痛みが出やすくなります。

変形性脊椎症(※1)や椎間板ヘルニア(※2)などの病気を引き起こす可能性もあります。

※1変形性脊椎症

長年負担がかかることで頸椎、胸椎、腰椎が変形することで起こる老化現象のひとつです。進行して骨の変形や歪んだり、靭帯や椎間板が硬くなったりして脊髄神経を圧迫すると、手足のしびれや麻痺が出現することもあります。

※2椎間板ヘルニア

頸椎、胸椎、腰椎の体重を支える部分を椎体と呼ぼます。椎体と椎体の間に存在するクッション材が椎間板です。椎間板はもともと弾力性があるのですが、長年負担がかかりつづけることで硬くなってきて、ヒビ割れして圧縮されてきます。その結果、椎間板がはみ出したものを椎間板ヘルニアと呼びます。はみ出したものが神経に当たると痛みやしびれ、麻痺などの症状が出現します。

④神経症状

背骨の中心は脊髄が通っています。脊髄とは脳の一番下に存在する延髄の下につながる神経の束で、首から下の感覚を脳に伝えたり、脳からの指令を手足や体に伝えたりする役割があります。

側弯が強くなると、脊髄に歪みが生じ、手足や体の痛みやしびれ、麻痺などの神経症状が出現します。

⑤内臓への負担

側弯の影響で肺や心臓、胃腸などの内臓が常に圧迫された状態に陥ります。その結果、肺活量が低下したり、心臓が血液を全身に送り出す力が低下したり、胃腸の動きが低下したりします。

場合によっては呼吸不全、心不全、腸閉塞などの重篤な病気に進行する可能性があります。

呼吸不全になれば酸素を常に投与する状態になったり、繰り返し肺炎を起こすようになってしまいます。

心不全は悪化すれば命に関わります。

腸閉塞は早期に発見できれば手術などで治療できますが、手遅れになれば命を失うこともあります。

⑥脳力低下

上述したように、側弯の影響で肺や心臓の機能が低下します。

呼吸不全や心不全になるほどではなくても、健康な人に比べると脳に送り出される血液や酸素の量が少なくなります。

血液や酸素の量が不足すると、脳神経が生み出せれにくくなったり、脳神経の活動性が低下してしまいます。

持久走大会のあとや長時間入浴したあとに、頭がもうろうとした状態が常に起こっていると考えていただくと、脳の血液・酸素不足の状態が想像できると思います。

子供であれば学習能力の低下を招きますし、大人であれば判断能力や記憶力の低下によって仕事のパフォーマンスが下がる可能性があります。

⑦運動能力低下

側弯の影響で体のバランスが左右どちらかに偏っています。また脚の長さに左右差が出たり、上述したように心肺機能の低下が起こります。

これらは運動をするうえでマイナスになります。

運動やスポーツを行ううえでデメリットとなります。

まとめ:側弯は姿勢を改善する方法

あまりに症状が強い場合は手術が必要となりますが、そこまでではないのであれば自分自身でケアすることで改善していきましょう。

鏡の前で左右の肩の高さが一緒になるよう意識したり、ストレッチで柔軟性をアップさせることで改善が期待できます。

またコルセットを着用することで正しい姿勢習慣を維持することができます。

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