身長を伸ばすのに必要な栄養【専門医解説】

はじめに

子供の身長が伸びなくて悩んでいるご両親から、身長を伸ばすにはどうすればいいのか相談にのることが多々あります。

僕の子供たちも背の順でずっと前の方だったので、ご両親の心配する気持ちが良く分かります。

そこで今回は子供が成長期に身長を伸ばすための栄養について解説します。

身長は遺伝の影響が強いため、「これをやれば絶対に背が伸びる」という方法は残念ながらありません。

とはいえ生活習慣による影響もあることは事実です。

この記事を読めば、子供が成長期に身長を伸ばすためにできることを知ることができます。

身長が伸びるのに必要な要素

身長が伸びるのに必要な要素は、大きく分けて

  • 栄養
  • ホルモン

があります。

身長が伸びるには骨が成長する必要があります。

骨が成長するには、骨の原料となる栄養素が十分あることと、原料を骨に代えるホルモンがしっかり分泌されることが重要です。

どちらかが欠けても身長が伸びることを邪魔してしまいます。

この記事では栄養について解説していきます。

骨の成長に必要な栄養

骨の原料として思い浮かぶのはカルシウムだと思います。

しかしカルシウムだけを一生懸命摂取しても、骨は成長しません。

骨の成長にはカルシウム以外にも様々な栄養が必要です。

骨は約70%がカルシウムリンを主成分とするアパタイト、約30%がコラーゲンというタンパク質を主成分とする有機物で構成されています。

骨を鉄筋コンクリートのビルだとすると、コラーゲンが鉄筋、アパバイトがコンクリートのような役割を果たしています。

骨の原料となるカルシウム、リン、コラーゲンは背が伸びるうえで重要な栄養素となります。

またビタミンDビタミンKなどのビタミン類も重要な役割を果たしています。

それぞれについて解説していきます。

カルシウム

カルシウムを多く含む食材といえば、乳製品や小魚を思い浮かべるかと思います。

実はそれ以外にも野菜や大豆製品にも多く含まれています。

主な食材のカルシウム含有量は以下の通りです。

魚介類

ししゃも2尾 165㎎

干しエビ大さじ1/2 213㎎

いわし1尾 132㎎

大豆製品

がんもどき1個 144㎎

木綿豆腐1/2丁 129mg

凍り豆腐1枚 95㎎

乳製品

牛乳1カップ 231㎎

ヨーグルト1カップ 240㎎

プロセスチーズ20g 126㎎

野菜

小松菜1/3束 136mg

モロヘイヤ1/2袋 130㎎

いりごま大匙1強 120mg

カルシウムは成長期には700~1000㎎摂取することが推奨されています。

リン

リンはカルシウム同様に魚や乳製品、大豆製品の他、肉や加工食品、スナック菓子、清涼飲料水などにも含まれており、不足する心配はありません。むしろ過剰摂取が問題になることが多いです。

リンの摂取量が多すぎると、カルシウムが吸収されにくくなり、かえって骨の成長を邪魔してしまいます。

またリンの過剰摂取は、腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、動脈硬化などの原因になります。

栄養はなんでも摂ればいいというわけではありません。

コラーゲン

コラーゲンはお肌がプルプルするために必要な栄養として有名です。

実はコラーゲンは皮膚以外にも血管や腸、軟骨、骨、靭帯(じんたい)などにも存在し、弾力を出す役割を果たしています。

骨では先述したように鉄筋の役割を果たしています。

コラーゲンは他のタンパク質と同様、食べて消化された後、アミノ酸に分解され吸収されます。

そのためコラーゲンを食べてもそのままコラーゲンにはなりません。

コラーゲンの原料となるアミノ酸が豊富な食品を食べる必要があります。それは豚料理などで生じるゼラチンや、大豆のようにアミノ酸スコアの高い植物性タンパク質などです。

コラーゲンを作るのにビタミンAが必要なので、併せて摂取するのがおススメです。

ビタミンAは、レバー・バター・卵黄・ニンジン・うなぎ・モロヘイヤ・ほうれん草などに多く含まれています。

ビタミンD

ビタミンDは変化することで効果を発揮します。

ビタミンDの前駆物質は皮膚に存在しています。

皮膚に紫外線が当たることでビタミンD3というものに変化し、さらに腎臓、肝臓で処理され、活性型ビタミンDに変化します。

活性型ビタミンDとなることで初めてカルシウムを体内に保持し骨をつくる効果を発揮します。

また筋肉にはビタミンDのレセプター(受容体)があり、このレセプターにビタミンDが結合することにより、筋肉中のタンパク質合成が促進することも分かっています。

ビタミンD3を含む青魚、卵、きのこなどを食べたり、1日20分日光浴することでビタミンD3の合成を促すことが重要です。

ビタミンK

ビタミンKは骨に存在するオステオカルシンというタンパク質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があります。また骨からカルシウムが流出するのを抑制する働きがあります。

食品としては納豆やブロッコリー、ホウレンソウに多く含まれています。

さいごに

身長を伸ばすために牛乳を飲むよう昔から言われているのは、骨を構成する成分のひとつであるカルシウムが豊富に含まれているからですが、それだけでは身長は伸びません。

骨の成長に必要な栄養素をバランスよく摂取することが重要です。

最近は身長を伸ばすために必要な栄養素をまとめて摂取できるドリンクも販売されているので、試してみるのもよいでしょう。

ちなみに僕の子供たちはこの商品を飲んでいます。

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