はじめに
頭痛があると頭や脳に原因があると思いがちですが、首の骨(頚椎)が原因の場合もあります。
頚椎が原因の頭痛を頚性頭痛と呼びます。
頭痛を訴える人の15~20%が頚性頭痛だと言われています。
頭痛の人の5人に1人は頚部が原因だということです。
今回は頚部が原因で頭痛が出る頚性頭痛について解説します。
この記事を読めば頚椎が原因の頭痛について知り、予防や対処することができます。
頚性頭痛の原因
哺乳類は頚椎が7個あります。上から2番目と3番目の頚椎の間から出てくる神経が何らかの原因で圧迫されたり炎症を起こすことで、後頭部の感覚を司る大後頭神経や三叉神経が刺激され、頚性頭痛が出現します。
神経を圧迫したり、神経に炎症を起こさせる原因については後述します。
頚性頭痛の特徴
頚性頭痛の特徴として、首を動かすことで痛みが出るというものがあります。
顔を左右上下に向けたり、首を回したりして頭痛が出るようでしたら、頚性頭痛である可能性があります。
痛みの部位としては後頭部に出ることが多いです。
痛みは少しずつ強くなり、持続するようになります。
過労やストレス、睡眠不足、うつなどがきっかけになることも多いです。
頚性頭痛はレントゲンやCT、MRIなどでは特に異常は認めません。
CTやMRIで脳腫瘍や慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、髄膜炎などが確認される場合は、それぞれの疾患に対する治療を直ちに行う必要があります。
以下に挙げる疾患があれば、神経の圧迫や炎症を起こし、頚性頭痛の原因になっている可能性が高いです。
頭蓋骨と頚椎の間に奇形がある
頭蓋底陥入症、先天性環軸椎亜脱臼、歯突起分離、環椎後頭骨癒合、Arnold-Chiari奇形、脊髄空洞症
頭蓋骨と頚椎の間に徐々に変化が起こる
関節リウマチ、強直性脊椎炎、骨軟部腫瘍、骨髄炎など
頚椎の老化現象
頚椎症、頚椎椎間板変性
頚椎のケガ
むち打ち症、頚椎の骨折、頚椎の脱臼
筋肉の緊張
首の後ろ側の筋肉が緊張することで起こる項筋緊張性頭痛
頚部後交感神経症候群
むち打ちなどの後に、頚椎を通る椎骨動脈の周囲にある神経(後頚部交感神経系)が興奮し、後頭部痛、めまい、耳鳴、眼精疲労、全身倦怠、動悸などの症状が出るものをいいます。バレリュー症候群ともいいます。
治療・予防
原因となる疾患があれば、まずは原因疾患の治療を行います。その結果、頭痛が軽減する可能性があります。
その他の頚性頭痛に対しては、心身のリラックスが1番の予防および治療になります。
マッサージやアロマセラピー、ストレッチ、ヨガなどがおススメです。
普段の姿勢に気を配ることも重要です。長時間パソコンやスマホを猫背で使用すると、頚部に負担がかかり頭痛が出やすくなります。視線が15度下向きになるぐらいが頚部への負担がかかりにくいとっされています。
枕や寝具の工夫で改善する場合もあります。
痛みが強い場合は薬を使用します。頚部に湿布や塗り薬を使ったり、消炎鎮痛剤・筋緊張緩和剤などの内服薬を服用したりします。
頚部後交感神経症候群や筋緊張性頭痛の症状が強い場合はブロック注射を行います。
さいごに
頭痛は脳疾患が原因のこともあるため、ひどい場合はCTやMRIなどの精密検査を受ける必要があります。
精密検査の結果、脳に異常がなければ、片頭痛か頚性頭痛である可能性が高いです。
頭の片側が傷む場合は片頭痛の可能性が高いですが、後頭部の痛みが中心であれば頚性頭痛が疑われます。
頚性頭痛であれば、今回説明した方法で予防・治療してください。
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