はじめに
様々な原因によって股関節の軟骨がすり減ったり変化したりした結果、関節に変形や炎症が起こり、股関節の痛みや動きの悪さが表れるものを変形性股関節症といいます。
国民全体の1.0~4.3%に発症しているとされており、特に中高年の女性に多く見られます。
今回は変形性股関節症について分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば変形性股関節症について理解できるようになります。
原因は?
原因は大きく2種類に分かれます。
ひとつは明らかな原因がなくて起こる一次性です。
もうひとつは生まれつきの異常やケガ、病気が原因で起こる二次性です。
それぞれについて詳しく説明します。
一次性
原因不明の変形性股関節症です。様々な要因(老化、体重増加、肉体労働、スポーツなどによる過負荷)が要因と考えられています。多くの研究で遺伝の影響も示唆されています。
二次性
股関節の形態異常(寛骨臼形成不全)、骨折や脱臼などのケガ、股関節に菌が入って起こる化膿性股関節炎、股関節を構成する大腿骨に異常を生じる病気(大腿骨頭壊死やペルテス病など)がある影響で、二次的に股関節の変形が起こるものを二次性変形性股関節症と呼びます。
8割は寛骨臼形成不全が原因です。
寛骨臼形成不全とは、股関節の形が悪いことです。
症状は?
体重をかけたときや股関節を動かしたときに痛みを感じます。
股関節の動きが悪くなるので、靴下をはいたり、足の爪を切ったり、あぐらをかいたり、しゃがんだりする動作が苦手になります。
また歩行する際、びっこをひいいて歩きます。
多くの方が40歳から50歳で症状が出現しはじめます。
どんな人がなりやすい?
以下に該当する場合は変形性股関節症になりやすいです。
- 乳幼児検診で股関節の異常を指摘された
- 肥満傾向
- アスリートレベルのスポーツをしていた
- 重たいものを持つ仕事をしていた
- 長時間の立ち仕事をしていた
どうやって診断する?
問診や症状、身体所見から変形性股関節症が疑われる場合は、股関節のレントゲン撮影を行います。
レントゲンで股関節の変形を認めれば、変形性股関節症と診断されます。
はっきりしない場合はMRIを撮影し診断します。
治療は?
初期であれば消炎鎮痛剤や運動で症状を緩和させます。
運動としては有酸素運動(特に水中ウォーキング)、股関節外転筋(脚を外に開く筋肉)や膝を伸ばす筋肉の強化が有効です。
病状が進行していて痛みなどのために日常生活に支障が出ている場合は手術を検討します。
手術には股関節を構成する骨をカットして股関節にかかる負担を減らす骨切り術と、人工の関節に取り換える人工関節置換術があります。
骨切り術は人工関節の手術に比べて体への負担が大きく、術後の安静期間が長くリハビリテーションに時間がかかるため、主に若い方に対して行われます。
人工関節は激しい動きには耐えられず、15年~20年ほどで交換が必要になるため、主にご高齢者に対して行われます。
人工股関節
さいごに
変形性股関節症の症状に当てはまるようでしたら整形外科を受診して診断してもらいましょう。
初期であれば運動によって改善し、手術を行わずに済む可能性があります。
病状が進行している場合は残念ながら手術が必要になります。
手術を怖がって限界になるまで我慢して受診する方が多いですが、我慢している間に病状はさらに進行し筋力も低下してしまうので、手術も術後のリハビリテーションも大変になってしまいます。
何事も早期発見・早期治療が重要です。
早めの受診を心がけましょう!
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