はじめに
誰もが仕事でもプライベートでもミスを減らしたいと思うものです。
特に日本人はミスを恐れる傾向が強いです。
その原因は減点主義の教育システムの影響や、ミスをした人を吊し上げたり強く叱責する傾向が強いためだと思われます。
医療現場ではちょっとしたミスが人の命に関わるため、ミスを減らすための研究や実践が進んでいます。
そのなかでも簡単にできて有効な方法をお伝えします。
結論からお話するとその方法とはタイムアウトというものです。
今回はミスを減らすためにあらゆる分野で活用できる方法、タイムアウトについて解説します。
この記事を読めばあなたはあらゆる場面でミスを減らせるようになります。
ミスが起きたらシステムを疑う
ミスが起こった際、絶対避けなければいけないことがあります。
それはミスをした人を責めることです。
ミスを責める体制があると、ミスを隠蔽しようとします。結果大きな問題が起こりやすくなります。
ミスを責めたところで何の解決にもなりません。
大切なのはミスが起こった原因を前向きに考え、再発を予防するにはどうすればよいのかを検討することです。
まず検討すべきはシステムの問題ではないかという点です。
ミスが起こる原因の多くがシステムの問題で生じています。
もちろんヒューマンエラー(人が原因で起こる失敗)である可能性もありますが、真っ先に考えるべきはシステムに問題がなかったかという点です。
仮にヒューマンエラーだったとしても、ヒューマンエラーが起こった背景にはシステムの問題が潜んでいる可能性があります。
逆にシステムを構築することでヒューマンエラーを防ぐことができます。
システムのひとつがタイムアウトです。
タイムアウトとは
タイムアウトが最初に行われるようになったのは手術室です。
信じられないことかもしれませんが、手術をする患者さんを間違えたり、手術する部位を間違えたりという問題が起こってしまうのです。
それは大学病院でも起こりますし、名医が執刀しても起こります。
もちろんそのようなことが起こらないよう多くの対策がなされています。
名前の記載されたリストバンドを付け、病棟を出るとき手術室に入室するときに名前の確認と手術する部位を確認して、麻酔をかける前に再度名前と手術する部位を確認してといった徹底ぶりです。
しかしそれでも偶然に偶然が重なって、対策の網の目をすり抜け、問題は生じてしまうことがあるのです。
どのような対策も、慣れとともに流れ作業的になってしまい、チェックが甘くなってしまいます。
そこで考え出されたのがタイムアウトです。
タイムアウトとは、執刀医が執刀する前に「タイムアウト」と宣言し、流れをリセットし、患者名、手術部位、術式を最終確認するといったものです。
タイムアウトの宣言は執刀前の執刀医以外であっても行えます。
「あれ?」と少しでも思ったら誰でも宣言していいルールとします。
研修医が大学病院の教授に対してもタイムアウトを宣言できるルールにしておきます。
「なんだ、たったそれだけのことか」
と思うでしょうが、このちょっとしたことがミスを減らすのに大変効果的なのです。
タイムアウトの利点は
といった点です。
それぞれについて詳しく説明します。
状況を俯瞰して冷静に確認できる
一度立ち止まることで、冷静になることができます。
改めて状況を確認することで、ミスに気付けることが多々あります。
ミスが起こる原因のひとつに思い込みがあります。
正しいと思い込んでいると、ミスに気付きにくくなります。
「ミスしているかもしれない」という視点で状況を再確認することで、ミスに気付きやすくなります。
多くの人によるチェックが行える
医療現場では何事も二人以上でチェックするダブルチェックは徹底されています。
しかしダブルチェックでもミスは起こってしまうことがあります。
慣れによって形だけのダブルチェックになってしまうことが原因です。
ダブルチェックよりさらに多くのチェックを加えることで、ミスを減らすことができます。
タイムアウトを誰でも遠慮なく行えるようにルール化することで、複数人でのチェックが行われることになります。
大事なのは、誰でも遠慮なくタイムアウトしていいとルール化することです。
ルール化しないと、立場が下の人間はタイムアウトできません。
ちょっと想像してみてほしいのですが、自分よりずっと立場が上の人が何か間違ったことをしているのに気付いた際、ズバッと指摘できるでしょうか。
なかなか難しいでしょう。
だからルール化する必要があるんです。
立場が上の人が下の人に対して「何か気になることはないか?少しでもおかしいと思ったことがあれば遠慮なく言ってくれ!」と声かけすることを習慣にしましょう。
惰性を防ぐことができる
何事も慣れてしまうと惰性でやってしまいがちです。
車の運転でよく言われるように、慣れたころに事故が起こりやすいものです。
慣れてしまうことで注意が散漫になってしまいます。
タイムアウトを宣言することで、初心にかえって意識を集中することができます。
実用的なタイムアウト使用法
とはいえタイムアウトを宣言するのが難しい状況も多いでしょう。
接客業であればタイムアウトを宣言するのは難しいでしょうし、一人で仕事をしているのであればダブルチェックをしてくれる人はいません。
そこで実用的な使用法をお伝えします。
それは
セルフタイムアウト
です。
セルフタイムアウトとは自分の中でタイムアウトを行うというものです。
何か作業に取りかかる前に、自分自身にタイムアウトをかけます。
口に出すのが理想ですが、難しければ心の中でタイムアウトを宣言するだけでも大丈夫です。
セルフタイムアウトをかけたらゆっくり5回深呼吸し、何かミスをしていないか確認します。
仕事中に煮詰まってきたと感じた際もセルフタイムアウトを行うようにしましょう。
人と接していて煮詰まっていることを感じたら、トイレに行くとか適当な理由を作ってその場を離れ、セルフタイムアウトをとりましょう。
タイムアウトをとることで頭も心もリセットされます。その結果、ミスやトラブルを防ぐことができます。
仕事の途中でその場を離れることに抵抗をおぼえる人もいると思います。
僕も元々馬鹿真面目だったので、仕事の途中で頻繁にトイレに行ったり休憩をとる人を軽蔑していました。
しかしタイムアウトを知ってから、頻繫に休憩をとる人は無意識にセルフタイムアウトをとっているのかもと思うようになりました。
休憩をとらずにいることで判断ミスが増えることは証明されています。
顧客や職場にとって大事なのは、馬鹿真面目に休憩をとらないことよりも、ミスをしないことです。
目的のために何が大切かを考えてタイムアウトを意識的に行うようにしましょう。
コメントを残す