はじめに
スポーツ経験者であれば、肉離れには馴染みがあるかと思います。
自分自身が肉離れになったことがなくても、周りの競技者が肉離れになったのを見た経験はあるかと思います。
肉離れという言葉から、筋肉が骨から離れるのを肉離れだと思っている人が多いようですが、実は全く違うことが起こっています。
今回は馴染みがあるわりに、何が起こっているのか知られていない肉離れについて解説します。
この記事を読めば、肉離れの真の姿を知り、予防や治療について理解することができます。
肉離れとは
肉離れとは筋肉が離れるわけではなく、筋肉が断裂することをいいます。
「えっ!筋肉が断裂‼」
と驚いたことでしょう。
断裂と聞くと、とても大変なことが起こっているように感じますが、厳密には部分的に断裂していることがほとんどです。
筋肉は筋繊維が集まって構成されています。
ロープが細いヒモの集合体で構成されているのと同じような構造です。
ロープが筋肉だとすると、ヒモが筋繊維です。
肉離れとはロープが切れるのではなく、ロープを構成しているヒモが何本か切れるような状態です。
切れたヒモの本数が少ない場合は、ロープそのものは繋がった状態を維持できます。
これと一緒で、肉離れをしても筋肉そのものは繋がった状態を維持できます。
ですから肉離れを起こしても、歩いたり走ったりはできることが多いです。
原因
格闘技やラグビーなどのコンタクト競技などで筋肉に直接外力が加わって断裂する場合と、急にダッシュしたりジャンプする際に筋肉が収縮している状態から急に伸びることで引きちぎられる場合があります。
直接外力で断裂する場合は全身どの場所でも起こる可能性があります。
引きちぎられる場合は太ももの裏(ハムストリングス)とふくらはぎ(腓腹筋)に肉離れが起こりやすいです。
症状
直接外力であればぶつかったところに一致して痛みが生じます。押さえると痛みがあり、動かすと痛みが強まります。内出血をして腫れることも多いです。
引きちぎられる場合は、伸ばされたことで筋繊維の部分断裂を起こした部位に痛みを感じます。直接外力の場合と同様、押さたり動かしたりすると痛みが出ます。内出血や腫れがでることも多いです。
予防
直接外力による断裂はプロテクターなどで予防します。
引きちぎられる断裂を予防するには、入念なストレッチやウォーミングアップなどが重要です。
また筋肉が冷えた状態だと断裂を起こしやすいので、保温を行うことも大切です。
治療
まずは安静にして、痛みや腫れをある部位を軽く圧迫しながら冷やします。
痛みと腫れのひきぐあいは損傷の程度によって差がありますが、数日は安静を保つようにします。
痛みが強く出ない範囲でのストレッチを徐々に開始していきます。
痛みと腫れがある程度治まれば、ジョギング程度から運動を再開していきます。
痛みや腫れが強い場合は消炎鎮痛剤の内服や外用(湿布や塗り薬)を使ったり、あて木(シーネ)で固定したりします。
さいごに
肉離れは完全に断裂部分がつながる前に競技復帰することが多いため、再発しやすいです。
競技復帰への焦る気持ちは分かりますが、再発すればかえって長く競技から離れることになってしまいます。
再発防止には日ごろからストレッチを行い、運動前のウォーミングアップとストレッチ、運動後のクールダウンとストレッチを念入りに行ってください。
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