とあなたは思い込んでいませんか
実は腰痛になった時は安静にするのがいいとも限らないんです。
なぜならば安静にすることで痛みがかえって長引いてしまう可能性があるからです。
僕自身、腰痛の専門家である整形外科医でありながらギックリ腰になった際、耐えられる範囲で動くことで最短でも社会復帰を果たしました。
この記事では腰痛の際に動くべきか、安静にすべきかを検討した様々な論文を解説していきます。
結論からお伝えすると
腰痛の際は動いた方が良さそう
となります。
『よさそう』と曖昧な表現になっているのは、弱いエビデンス(根拠)しかないためです。
研究結果について詳しく解説していきます。
急性腰痛の症状による比較
性別を問わない 16 ~ 80 歳の急性腰痛(発症から 6 週未満、または慢性腰痛が悪化してから 6 週未満のもの)の人たちを 以下の2 つのグループに大別し比較した研究があります。
- 神経症状(坐骨神経痛)のない非特異的腰痛
- 神経症状を伴う腰痛
非特異的腰痛とは、医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で厳密な原因が特定できない腰痛のことです。
腰痛の定義に関して詳しくはこちら↓
Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica.Cochrane Database Syst Rev 2010; (6): CD007612.
活動性
①の非特異的腰痛では,ベッド上安静よりも活動性維持のほうが痛みと機能の面でより優っていました。
②の坐骨神経痛を伴う腰痛の場合では、ベッド上安静と活動性維持による痛みおよび機能の面で明らかな差がないという中等度の質のエビデンスが示されました。
病欠期間
病欠の期間に関しては、①②どちらもベッド上安静と活動性維持との間に明らかな差がないという低いレベルのエビデンスが認められました。
腰痛になってからの期間ごとでの結果
腰痛になってからの期間ごとに調べた結果があります。
- 超短期(2 週以内)
- 短期(2 週~ 3 ヵ月)
- 中期(3 ~ 12 ヵ月)
の3つの期間に分けて調べました。
その結果いずれの期間でも身体機能の面で明らかな差はありませんでした。
病欠に関して超短期的にはベッド上安静より活動性維持のほうがよい結果が得られました。
しかし短期ではベッド上安静と活動性維持との間に明らかな差はないという低いレベルのエビデンスが認められました。
Abdel Shaheed C, et al. Interventions available over the counter and advice for acute low back pain:systematic review and meta-analysis. J Pain 2014; 15: 2.
米国内科学会のガイドライン
2017年に発表された米国内科学会(American College of Physicians:ACP)のガイドラインでは、すべての腰痛患者に活動性を維持するように指導すべきと記載されています。
ただし障害の程度や復職と痛みとの関連性についてはエビデンスが不足していると指摘されています。
Qaseem A, et al. Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. Ann Intern Med 2017; 166: 514.
まとめ:腰痛になったらコルセットを用いて早期から動きましょう
- 腰痛にと安静に関して様々な研究結果が発表されていますが、エビデンスに乏しいものしかありません
- そのため明言することはできませんが、総体的に判断すると活動した方がよさそうという結論になります。
- 1日でも安静にすると筋肉量は減ってしまうことを考えると、活動した方がよいのは当然といえます
- 腰痛になった際は、腰のコルセットを使用して腰にかかる負担を減らし痛みが出にくい状態にして、可能な限り動くようにしましょう
腰痛になったときは無理せず安静にした方がいい
腰痛になったときは動かずにジッとしているのが一番