ヘルニア持ちじゃないかもしれません
あなたもヘルニアという言葉を聞いたことがあると思います。
ヘルニアと聞くと腰の病気だと思いがちですが、実は腰に限った病気ではなありません。
ヘルニアの語源は〈脱出〉を意味するラテン語のherniaです。
ヘルニアとは、臓器もしくは組織が体内の裂け目を通って本来の位置から脱出した状態をいいます。
腰以外にも、脱腸(だっちょう)と呼ばれる鼠経(そけい)ヘルニアや、脳ヘルニアなどがあります。
腰のヘルニアを正式には腰椎椎間板ヘルニアと言います。
腰椎椎間板ヘルニアについて詳しくはこちら↓
腰のヘルニアと診断されたことがある人は
「俺はヘルニア持ちだから」
と口にします。
なぜならば腰椎椎間板ヘルニアは自然に消えてなくなっている可能性があるからです。
今回は腰のヘルニアがどのように消えるのかについて解説します。
★腰のヘルニアに悩まされている
★慢性的な腰痛をヘルニアのせいだと思っている
この記事を読めば腰のヘルニアがどのように消えるか知ることができます
ヘルニアはどの程度消えるのか
手術をしなかった椎間板ヘルニアの患者さん77人(男性48人女性29人、平均年齢41歳)を調査した研究があります。
研究では椎間板ヘルニアの程度によって、次の3つのタイプに分類して評価しました。
- 椎間板の後方は連続性が保たれている
- 椎間板の後方の連続性が一部途絶えている
- 椎間板の後方の連続性が一部途絶えたうえに、ヘルニアが飛び出している
※①~③の順に程度が強くなっています。
それぞれで椎間板ヘルニアが消えた割合は
- 14人中0人(0%)
- 27人中7人(26%)
- 36人中28人(77.8%)
となり、全体では77人中35人で45.5%という結果になりました。
飛び出したタイプの腰椎椎間板ヘルニアのうち77.8%が消失していました
もうひとつ同様の研究が行われています。
腰椎椎間板ヘルニアによって坐骨神経痛がある人を165人(男性114人、女性51人)調べた研究があります。
165人のうち84人が椎間板の中身(髄核)が外に飛び出したヘルニアでした。
そのうちの64人(76%)でヘルニアの消失を認めました。
椎間板の中身(髄核)が外に飛び出したタイプの76%で消えていました
以上の報告から、飛び出したタイプのヘルニアのうち約8割は自然に消えることが期待できます。
どのくらいの期間で消えるのか
上述した手術をしなかった腰椎椎間板ヘルニアの患者さん77人を調査した研究で、77人中35人(45%)は初回MRI撮影後に平均195日(半年ちょっと)で縮小していました。
もうひとつの腰椎椎間板ヘルニアによって坐骨神経痛がある人を165人(男性114人、女性51人)を調べた研究で、2ヵ月後にMRIを撮影できた74人の検討では、大きさがが40%以下に縮小した人は28人(37.8%)いました。
報告は撮影間隔が一定でなく経過観察期間が短すぎるため、腰椎椎間板ヘルニアが消える具体的な時期は明らかではありませんが、2〜3ヵ月で縮小する腰椎椎間板ヘルニアが少なくないと推定されます。
しかし実際はヘルニア持ちではない場合が多いです。